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なぜ三笘薫はプレミアリーグで急成長したのか? 間違っていなかった「他のチームにはできない」ブライトンでの挑戦【現地発】

THE DIGEST編集部

2023.02.18

フィニッシュワークでも異彩を放ち、存在感を日々強めている三笘。この活躍はなぜ世界最高峰と言われる舞台で続いているのか。(C)Getty Images

 多士済々のプレミアリーグで、毎週末のように話題を振りまく活躍を見せているのが、ブライトンに所属する日本代表MFの三笘薫だ。カタール・ワールドカップによる中断が明けてからの公式戦8試合で5ゴールと、文字通り絶好調だ。

 最近では開幕時にあまり見られなかったフィニッシュワークでも異彩を放つようになった三笘。日進月歩で飛躍を続ける25歳は、なぜ世界最高峰とも言われるプレミアリーグで活躍を続けられるのだろうか。それを語るうえで、まずクローズアップしたいのは、彼の優れたフットボールIQの高さだ。

 先日に『Abema』で放送された元日本代表DF内田篤人氏とのインタビュー「MITOMA ~頂点を目指す者~」でも、彼のクレバーさは再確認できた。番組内で三笘は、ドリブルに対する意識について問われ、「どこかのタイミングでアタックしに来る選手が多いので、急に下がっているようでも前に出てくる守備というのは警戒している」と回答。そして、「なるべく細かいタッチで相手が来る前に自分が外せるように意識している。スピードに乗りすぎないことを大事にしている。スペースがない時は特に」と続けた。

 これを聞いた内田氏は、興味深そうに「ほ~、乗りすぎないというのは難しい感じがしますが……」と驚く。すると三笘は、「ボールを受ける前に周りの状況を見て仕掛けるべきか仕掛けないべきかをまずは判断して、スピードを上げるのか、ここは1対1で仕掛けるべきなのか、リスクを負うべきかは考える。そこからは状況が変わったときは、いろいろな成功体験があるのでそれに従ったり、状況を見ながらベストな選択肢をしていくというのが多いんです」とも説いていた。
 
 長年にわたって、欧州、特にイングランドでプレーする日本人選手を追いかけてきた日本人の記者仲間と三笘のパフォーマンスについて話をする機会がある。そのたびに彼の活躍の要因として、我々が同意する項目のひとつが、「線は細いのに当たり負けをしない身体の強さ」だ。

 これは香川真司や南野拓実、両選手に比べれば、がっちりとした体形だった岡崎慎司にもなかった点である。日本人選手のボールの扱いは総じて上手い。現地の英国人記者や元選手たちにも言われたことのある事実だ。ただスピードと並んでプレミアリーグで重要なのがフィジカルである。

 単純に考えすぎかもしれないが、もしも香川、南野、岡崎、さらに言えばニューカッスルにいた武藤嘉紀なども、当たり負けしない身体を持っていたならば、もっと活躍していたはずと考えてしまう。

 一方、三笘は細身だが、相手選手に当たられても簡単に突き飛ばされたりするタイプではない。脚もそれほど太くはなく、「重心が低くなる」言われるような短足でもない。強いて言えば、近くで見ると思った以上に胸板が厚いくらいだろう。だが、プレミアリーグで長年活躍してきた猛者たちを向こうに回して、積極的に身体をぶつけてドリブルをし、時には守備に参加してボール奪取している姿も見られる。

 今季開幕間もないリーズ戦後にイングランド・サッカーについて聞かれた三笘は、「技術は高いですけど、スピード感はベルギーの時と…… 少し違いますけど、そこは慣れている分できるところはあります。でもフィジカルの部分がやっぱり違うので、そこの当たりの部分だったり球際のところをもっとやっていかないと勝てないなと思っています」と語っていた。あれから半年経過し、彼は明らかにフィジカルでも対等に競い合えている。そして球際でも十分な強さを見せている。
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