クラブ史上初となる欧州カップ戦（ヨーロッパリーグ＝EL）出場権を得て、今季はプレミアリーグとの同時進行によるハードスケジュールを経験しているブライトン。「二足のわらじ」の影響は、現時点で「シーガルズ」に重くのしかかっているようだ。

　シーズンのスタートは最高のものとなり、６節までに５勝を挙げ、いずれも３得点以上を挙げるなど、内容も文句なしだったが、ELのグループステージが始まると流れは変わり、第７節アストン・ビラ戦で１-６の大敗を喫すると、そこから現在まで６戦連続未勝利（４分け２敗）。一方、ELではAEKアテネ、マルセイユ相手に１分け１敗と低調な出だしも、不振を極めるアヤックスに対しては２戦とも快勝を収め、ここまでグループBの２位につけている。

　12節のホームゲームで最下位のシェフィールド・ユナイテッドに１-１で引き分けに終わったことで、その不調ぶりを人々により強く印象づけることとなったブライトン。実際、負傷者続出の中でロベルト・デ・ゼルビ監督もチーム編成に苦心している状況であり、まさに初めての欧州カップ参戦の洗礼を受けているとも言えよう。
  　もっとも、クラブの地元メディア『Sussex Express』は、シェフィールド・U戦について「怪我人の多さに悩まされているチームは疲れているように見え、勝点２を落とした。ハーフタイムまでに決着をつけるべきだった」と指摘しながらも、「それでも、結果を受け入れるしかない。トニー・ブルーム（オーナー）がクラブの舵を取り、デ・ゼルビがチームの指揮を執る限り、良い日々が悪い日々を常に上回ることを誰もが知っている」と楽観視する姿勢を崩さない。

　それというのも、ブライトンが苦難の道を長く歩み続け、1990年代にはディビジョン３（４部）まで落ちたという暗黒の歴史を有していることもあり、今や国内のトップリーグで上位を狙い、欧州カップで戦う地元クラブの状況こそが、同メディアにとっても「至福の時」であるからだ。

　４部時代の1996-97シーズンにファンが応援をボイコットしたマンスフィールド・タウン戦が「どん底」なのに対し、2023年11月９日の敵地ヨハン・クライフ・アレーナでのアヤックス戦（２-０の勝利）は122年のクラブの歴史における「最高の夜」であり、同メディアは、これらを「ブライトンの波乱万丈の道のり」と表現し、我らがクラブの成功を強調している。