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「加入後初めてチームの役に立っている」マドリーの中盤で存在感を増すダニ・セバジョス、「キャスティングミスだ」との苦言も依然あるなかでクロースの後釜に座れるか

下村正幸

2025.02.02

マドリーの中盤で存在感を見せつけているセバジョス。(C)Getty Images

マドリーの中盤で存在感を見せつけているセバジョス。(C)Getty Images

 レアル・マドリーの中盤で、ダニ・セバジョスの存在感が増している。これまでと異なるのは、「2017年夏に加入してから初めて継続的にチームの役に立っている」とスペイン紙『AS』の前編集長、アルフレッド・レラーニョ氏が言及するように、コンスタントに出場機会を重ねながら、持ち味を発揮している点で、移籍市場のオープンが近づくたびに持ち上がる古巣ベティスへの復帰話も、今冬はその活躍を受けて早々に消滅した。



 活躍を支えているのが、同紙の副編集長、ハビエル・シジェス氏曰く、「マドリーのMF陣の中で、最も優れているボール捌きと判断力」で、さらに「ドリブルを多用する悪癖を改善し、それがボールの循環を促す結果に繋がっている。もともと楔のパスを入れたり、サイドへ展開したりと、ゲームの流れを読みながら、周りの選手がやりやすいようにプレーする資質は持ち合わせている。セバジョスが中盤の一角に収まることで、ジュード・ベリンガムが(相手DFとMFの)ライン間でプレーする時間帯が増え、ポゼッションの質が高まった。トニ・クロースと比べるのは流石に可哀そうだが、思考回路は相通じる部分がある。ポジショニングに磨きをかけ、CBのサポートに入ったり、先読みしてインターセプトしたり、SBの背後のスペースをカバーしたりと気の利いたプレーが光る」と、その働きを分析する。

 敵守備ラインを破るパスも大きな武器となっており、『ラジオ・マルカ』の人気MCミゲル・キンターナ氏は、「セバジョスとルカ・モドリッチの恩恵を受け、前線の選手が自慢のスプリント力を発揮できるようになった。今シーズンのマドリーの攻撃において最も欠けていたことの1つだ。ヴィニシウス・ジュニオールとキリアン・エムバペですら、後方から縦パスを通すことができるMFを欲していた。エドゥアルド・カマビンガとオーレリアン・チュアメニではそうはいかない」と評価する。
 
 ただそれでも、セバジョスの起用に懐疑的な意見も完全には消えておらず、フランス人記者、フレデリック・エルメル氏は『AS』のコラムで、「セバジョスにはまったく興奮しない。恋愛だったらフィーリングの問題だ。確かに球離れが良くなり、テンポよくパスを出すようになった。パスの成功率が向上しているのはその賜物だろう。数字もそれを裏付けている。しかし、大一番でマドリーの攻撃のタクトを託すことができる選手かと言えば、まだまだプレーの判断が遅いように感じる。はっきり言えば、キャスティングミスだ」と苦言を呈する。

 そもそも1か月以上の戦線離脱を経て10月中旬に復帰したセバジョスにチャンスが転がり込んだのも、開幕から中盤がなかなか機能しなかったことが背景にある。さらにそれにクロースの後釜の獲得を見送ったフロントの方針が輪をかける格好になっていた。存在感が増したと言っても、ここ2か月ほどのこと。その大半がラ・リーガでの試合だ。「セバジョスは、毎週ラ・リーガで見せているプレーを欧州の強豪との大一番で発揮するレベルには達していないかもしれない。いずれにせよ、マドリーが求める理想のMF像を考える上で、彼の活躍は大きなヒントになる」というキンターナ氏の指摘が、セバジョスが置かれている現在地なのだろう。

 ともあれ、チーム事情も追い風となって、巡って来たチャンスをモノにし、重要な戦力となっているのは紛れもない事実。ここからさらに評価を高め、空位のままのクロースの後釜に座ることができるか、セバジョスにとって勝負の後半戦が始まった。

文●下村正幸

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