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バルサBの有望株がアル・イテハドへ移籍!「サウジアラビアの触手はラ・マシアにまで伸びている」地元紙は「事態は今後さらに悪化する可能性が高い」と警鐘を鳴らす

下村正幸

2025.02.05

バルサBからアル・イテハドに引き抜かれたウナイ・エルナンデス。(C)Getty Images

 3日にクローズした2024-2025シーズンの欧州5大リーグの冬の移籍市場で、重要なトピックのひとつとなったのが、サウジアラビアの脅威だ。カリム・ベンゼマ(レアル・マドリーからアル・イテハドへ)やネイマール(パリ・サンジェルマンからアル・ヒアルへ)ら多くの大物が渡った2023年夏に活況を呈した後、2024年は冬、夏とも勢いを失っていたが、この2025年冬に大攻勢をかけてきた。


 しかもこれまでと大きく異なるのは、全盛期を迎えている主力や将来性豊かな若手にも積極的に触手を伸ばしていったこと。その中でアストン・ビラの21歳ジョン・ドゥランが移籍金7700万ユーロ(約122億円)+出来高1700万ユーロ(約27億円)でアル・ナスルに、バルセロナBの20歳ウナイ・エルナンデスが移籍金約450万ユーロ(約7億円)でアル・イテハドにそれぞれ加入した。そのほかレアル・マドリーのヴィニシウス・ジュニオールとロドリゴ、ビジャレアルのアレックス・バエナ、ブライトンの三笘薫、バイヤー・レバークーゼンのビクター・ボニフェイスらにもオイルマネーの誘惑の手が及んだとスペイン紙『AS』が伝えている。

 そんななか、スペインで大きく注目されたのがビジャレアルのバエナのケースだ。『AS』によると、アル・アハリが提示した年俸は破格の1500万ユーロ(約24億円)以上。ビジャレアルは交渉に応じなかったものの、バエナさえ首を縦に振れば、契約解除金に設定されている5500万ユーロ(約87億円)を支払う用意もあったという。結果的にバエナは残留を選択したわけだが、「何が何だか分かりませんでした。会議の連続で、その中で話し合って考えて決断しなければなりませんでした。アレックスにとって、難しい決断でした。すべてが突然のことで、なかなか決心がつかない様子でした」と母親のサラ・ロドリゲスさんが急転直下の事態に戸惑った心境を吐露している。
 
 ウナイ・エルナンデスのケースも看過できない。Bチームの主力とはいえ、バルセロナのハンジ・フリック監督の下では夏のプレシーズンに帯同しただけで、トップチームから声がかからない状況が続いていた選手だ。スペイン紙『スポルト』は今年6月に契約が満了する前にバルサが売却を選んだ可能性を指摘しているが、同紙のリュイス・ミゲルサンス記者は同時に、「今、危険は明らかにサウジアラビアからやって来ている。今シーズン、Bチームで最も優れた選手であるウナイ・エルナンデスを金にモノを言わせて引き抜くという行為は、今後起こり得ることを予見させる警告だ。サウジアラビアの触手はラ・マシアにまで伸びている。彼らと資金力で勝負するのは不可能だ。バルサをはじめ欧州のビッグクラブは、この脅威を深刻に受け止めなければならない。なぜなら、事態は今後さらに悪化する可能性が高いからだ」と警鐘を鳴らしている。

 それはたびたびサウジアラビア行きの噂が浮上するヴィニシウスも同様だ。『AS』は移籍金3億ユーロ(約477億円)、年俸2億ユーロ(約320億円)の5年契約という天文学的な数字のオファーを提示していると伝えているが、「今のところ、誰も決定的なことは言っていない。ヴィニシウスは、その可能性について尋ねられても、マドリーの選手であることの大きな幸せを強調するにとどまっている。カルロ・アンチェロッティ監督は、サッカーでは何でも理解できると話すだけだ。クラブは何も答えていない。サウジアラビアもイエスともノーともいえないどっちつかずの態度で、何も説明することはない」と実況アナウンサーの第一人者のひとり、フアン・カルロス・リベロ氏がスペイン紙『ムンド・デポルティボ』のコラムで指摘しているように、現時点では実体のない噂に過ぎない。

 しかし最後にこうも付け加えている。
「多くの疑問が渦巻く中、ひとつ確かなこと。それは何でも起こり得るということだ」

文●下村正幸

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