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ブレシア、降格したセリエCにも登録できずクラブ消滅へ!? 主将は「114年の歴史が踏みにじられた」と怒り、伊紙は「クラブを死なせる選択をした」とオーナーを断罪

THE DIGEST編集部

2025.06.09

チェッリーノ会長に抗議するため、多くのブレシア・サポーターがロッジャ広場に集まった。(C)Getty Images

チェッリーノ会長に抗議するため、多くのブレシア・サポーターがロッジャ広場に集まった。(C)Getty Images

 今季セリエBを15位で終えるも、財務上の不正によって勝点4を剥奪されてセリエC降格が決定していたブレシア・カルチョが、債務不履行のためにリーグ参加の資格を喪失。マッシモ・チェッリーノ会長は破産手続きへ向かう見通しだと現地の複数メディアが伝えた。

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 かつてロベルト・バッジョ、ジョゼップ・グアルディオラ、アンドレア・ピルロら名手たちもプレーしたロンバルディア州のクラブは、2019-20シーズンにはセリエAに所属していたが、19位でBへ降格し、このカテゴリーで4シーズンを過ごした。しかし、今年2月の給与と社会保障費の支払い期限において、クラブが税金の支払い分を架空の税額控除でカバーしようとしていたことが財務監査機関の調査によって判明し、勝点剥奪のペナルティーが科せられた。

 この件について、チェッリーノ会長は「詐欺に遭った」と主張しており、イタリアのスポーツ紙『Gazzetta dello Sport』も「それが事実である可能性も否定はできない」としていた。カリアリ、リーズのオーナーを歴任したサルデーニャ島出身の実業家は、控訴する意向を示すとともに、クラブを売却するための決断を下しても、交渉が全く進展しなかった結果、「意図的にブレシアを消滅させた」と同メディアは報じている。

「これは報復であり、決して熟慮の末の決断ではない。チェッリーノ会長はクラブの登録を断念し、それで終わりとしたのだ。彼はアメリカのファンドと交渉を進めており、期限前に交渉が成立すれば登録は可能だったはずだった。しかし最終的に、ロンドンにいるオーナーは電話を切り、弁護士、会計士、助言者らとの連絡を断ち、選手やクラブ職員、わずかな支持者の声も無視した」

 ブレシアがセリエCに登録をするには、給与1か月分、社会保険料1か月分、所得税2か月分の計約250万ユーロ(約4億1000万円)に加えて、国税庁への未払い分240万ユーロ(約4億円)の分割払い初回分の約40万ユーロ(約6600万円)を登録締切の6日までに支払う必要があったという。

 同メディアは、「もし登録していれば、チェッリーノ会長は契約中の選手を売却して資金を回収し、借金の再構築や将来のプランを立てることもできた。実際、専門家がすでに全体の計画を立てていたという。しかしチェッリーノ会長はそれをせず、『クラブを死なせる』選択をした」と指摘した。
 
 この件に対する地元ブレシアの反応として、「ラウラ・カステッレッティ市長は、現在セリエCに所属するルメッツァーネ、オスピタレット、フェラルピサロと会合を開き、何らかの共同解決策を模索しているが、期待は薄い」と、由緒ある地元クラブの存続が厳しい状況にあることを強調し、この地域の特殊な事情にも言及している。

「ブレシア県はイタリアで最も裕福な地域であり、セリエAのクラブすら買える企業家が多くいる。しかし地元のクラブには手を出さなかった。それはこの街の『環境的圧力』があまりに大きく、耐えがたいとされているからだ。かつてはバッジョやグアルディオラを連れてきたり、ピルロやルカ・トニらを育てたにもかかわらず、オーナーのジーノ・コリオーニは批判され、評価されなかった。ブレシアでサッカーをするのは簡単ではない」

 2016年からブレシアでプレーし、現在はキャプテンを務めるMFディミトリ・ビーゾリはこの窮地に、彼の妻のSNSから「114年の歴史が踏みにじられた。ブレシアとは彼(チェッリーノ会長)ではない。ブレシアは我々だ。だから決して死なない。これまでよりも強くなると確信している」とのメッセージを発した。

 サポーターがクラブ本部に詰めかけるなど不穏な雰囲気の中、治安当局はクラブショップやトルボレ・カザリアの練習施設を警備しているが、これらはブレシアではなく、チェッリーノ会長の所有する会社「エレオノーラ不動産」の所有物ということで、現在ブレシアが抱える900万ユーロ(約15億円)の負債を解消する上で、チェッリーノ会長は彼の家族や関係者に影響を及ぼさないために「破産」ではなく「清算」を選択する可能性があるという。

 同メディアは、「今後もクラブの商標権(ロゴなど)の所有者であり続けるチェッリーノ会長は、『療養先』であるロンドンでこの局面を乗り越えようとしているが、今回のことをブレシアは決して忘れない」と綴って記事を締めている。果たして、カルチョの歴史において確かな足跡を残してきたこのクラブが今後いかなる運命を辿るのか、その動向を見守りたい。

構成●THE DIGEST編集部

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