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全ては「データ」「アルゴリズム」から始まる!? 伊紙が現在のクラブの戦力補強のプロセスを紹介!「イタリアはドイツやイングランドに後れを取っている」

THE DIGEST編集部

2025.07.17

「ペドリのような選手」は探せても、実際の彼は唯一無二。コンピューターにも限界はある。(C)Getty Images

 欧州主要リーグはオフ中だが、各クラブは来季に向けての戦力補強に余念がなく、移籍市場は9月1日の締め切りまでに、今後はさらに賑わいを増すことになる。

 その戦力補強が、いかなるプロセスを経て行なわれるかは非常に興味深いところ。イタリアのスポーツ紙『Gazzetta dello Sport』は、「古代ギリシャの数学者ピタゴラスは幕の裏から教えを説いたと言われており、その神秘的なスタイルが魅力のひとつだった。現代のサッカー移籍市場にも、同じような神秘的な雰囲気がある。そしてここでも、『数学』が重要な役割を果たしている」として、この作業において現在では必要不可欠である「データ」「アルゴリズム」について詳しく取り上げている。

 同メディアは、「まず前提として、クラブごとに独自の方法があり、全てに通用するルールは存在しない」と断りを入れた上で、「2025年現在において、データを入手するかどうかはもはや問題ではなく、重要なのはデータをどう使い、どう読み解くかという点だ」と指摘。「リーグのメジャー、マイナーを問わず、全てのクラブは現在、試合での統計データ(クロス数、パス数、ボール奪取数など)を活用している」と紹介し、以下のように続ける。
 
「さらに近年は、トラッキングデータも利用されている。これは、コンピュータービジョンの新たな技術により、動画から『走行距離』『スプリント回数』『高強度ランニングの距離』など、選手のフィジカル面の数値を抽出できるようになったからだ。つまり、入手可能なデータの量は非常に膨大だということである」

 こうしたデータの数々が手元にあることを前提として、問題はそれをいかに活かすかということだが、強化スタッフには「最低でも5回は生でプレーを見ないと獲るべき選手を決められない」という者もいれば、「人間の目だけを信じる」「全てコンピューターで判断すれば良い」と考える者もおり、そこからクラブによってデータ処理に違いが生まれてくる。

 また、クラブによってデータを「使う」タイミングも大きく異なるという。「多くのクラブは、選手選定プロセスの初期段階でデータを使用する。まず統計から有望なプロフィールを抽出し、それをスカウティング部門に回して分析させる。そこから『高額すぎる』、あるいは『技術的に適さない』といった判断によって篩(ふるい)にかけ、残った選手に関しては、ビデオでの分析、信頼できる人物への聞き取り、現地での視察など、さらに調査が進められる」
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「データ」と「アルゴリズム」だけによる補強にも現時点では「限界」がある