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海外サッカー

イタリア代表の“名勝負“5選――溜め息が世界を包んだR・バッジョのPK失敗、「20世紀最高」と呼び声高い西ドイツ戦もエントリー

片野道郎

2020.07.16

カンナバーロ(5番)を中心にイタリアが頂点に立ったW杯ドイツ大会決勝は、ジダン(10番)が頭突きで退場したことでも有名だ。(C)GES-Sportfoto

カンナバーロ(5番)を中心にイタリアが頂点に立ったW杯ドイツ大会決勝は、ジダン(10番)が頭突きで退場したことでも有名だ。(C)GES-Sportfoto

1994年7月17日 W杯アメリカ大会決勝
vsブラジル ●0延長0(2PK3)
得点者/なし

 1982年の勝利が70年大会決勝のリベンジだったとすれば、さらに12年を経たこの94年の決勝がブラジルの逆リベンジとも言うべき結末となった。

 82年同様にグループステージで苦戦した上、ラウンド・オブ16でもナイジェリアにあと一歩まで追い詰められながらロベルト・バッジョの奇跡的なゴールで勝ち上がるなど、困難な道程を歩んだイタリアに対し、ブラジルは順当勝ちを重ねての決勝進出。

 キックオフ時間を欧州のゴールデンタイムに合わせて現地時間正午としたおかげで気温40度、湿度100%近い炎天下での戦いとなった試合は、両チームとも精彩を欠いて何度か作り出した決定機を決め切れず、0-0のまま120分を戦ってPK戦に突入する。4人目まで終わったところで2-3と劣勢に立った先攻イタリアは、5人目のR・バッジョが枠を大きく外し、12年ぶりの優勝に手が届かないまま終わった。

 イタリアは自国開催の90年大会、この94年大会に続いて、98年大会でも準々決勝で開催国フランスの前に3大会連続となるPK負けを喫することになる。
 
2000年6月29日 EURO2000準決勝
vsオランダ 〇0延長0(3PK1)
得点者/なし

 R・バッジョの時代が終わり、フランチェスコ・トッティ、アレッサンドロ・デル・ピエロ、フィリッポ・インザーギ、クリスティアン・ヴィエリという70年代生まれの黄金世代を中心とする編成となったアッズーリが、優勝候補の一角を占めたこのEURO2000。珍しく危なげのない勝利を重ねて到達した開催国オランダとの準決勝はしかし、あらゆる波乱が詰め込まれた「アッズーリらしさ」満載の展開となった。

 オランダの猛攻の前に序盤から完全に守勢に回り、対面のボウデヴィン・ゼンデンに文字通り「チンチンにされた」ジャンルカ・ザンブロッタが最初の30分でイエロー2枚をもらって退場し、絶体絶命の状況に。ところが一方的な攻勢に立ったオランダは38分にフランク・デ・ブール、58分にパトリック・クライファートがPKを失敗、その後も決定機を外し続けて結局0-0のままPK戦へと突入する。

 イタリアはトッティが伝説的な「クッキアイオ」(チップキック)を決めたかと思えば、GKフランチェスコ・トルドがオランダの4本中2本を止める大当たりで、90年代のワールドカップで3大会続いたPK負けの悪しき伝統にようやく終止符を打った。

 ただ、続くフランスとの決勝では1-0で迎えた後半アディショナルタイムに同点ゴールを許し、延長戦でゴールデンゴール負けという屈辱を味わうことになるのだが……。

2006年7月9日 W杯ドイツ大会決勝
vsフランス 〇1延長1(5PK3)
得点者/イタリア=マテラッツィ
    フランス=ジダン

 前線のトッティ、デル・ピエロから中盤にアンドレア・ピルロ、ジェンナーロ・ガットゥーゾ、守備陣にはファビオ・カンナバーロ、アレッサンドロ・ネスタ、ジャンルルイジ・ブッフォンというワールドクラスを揃えながら、日韓2002、EURO2004で不甲斐ない早期敗退を喫してきた黄金世代のアッズーリが、遂に世界の頂点に立ったのが06年ドイツ大会だ。

 フース・ヒディンク率いるオーストラリアにラウンド・オブ16で苦戦させられたものの、準決勝では開催国ドイツを延長戦で下して12年ぶり(70年以来12年ごと4度目)の決勝進出を果たした。立ち上がりにPKを与えてジダンにループを決められたものの、19分にはCKからマルコ・マテラッツィが驚異的なジャンプ力でヘディングシュートをねじ込み1-1。

 最も意外なドラマが待っていたのは、そのまま膠着した試合が延長戦に入り後半を迎えた110分のことだった。マテラッツィの挑発に脊髄反射したジネディーヌ・ジダンが強烈な頭突きをかまして一発退場。この試合で引退が決まっていた偉大なプレーヤーにとっては後味の悪過ぎるキャリアの結末となった。

 そのまま突入したPK戦では、フランスの3人目トレゼゲのシュートがバーを叩いたのに対し、イタリアは5人全員が決めて82年以来24年ぶり4度目のワールドカップ制覇を成し遂げた。大会を通して圧倒的なパフォーマンスで敵の攻撃をはね返し続けた主将カンナバーロはこの年、純粋なDFとしては史上初(現在まで唯一)のバロンドールを獲得することになる。

文●片野道郎

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