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Jリーグ・国内

オシムが送る日本へのメッセージ「足りないのは絶対的な自信、真っ当なジャーナリズム、そしてベテランの有効活用だ」

サッカーダイジェスト編集部

2019.11.08

 自分のためではなく、チームのためにプレーすれば、サッカーはとても簡単なスポーツになる。ジェフ千葉と日本代表で計5年間監督をしていた時に私がなにより伝えたかったことが、まさにそれだ。

 “ハーモニー”こそチームだ。個人技だけで勝てていた時代はすでに終わり、現代サッカーではより“ハーモニー”が重視されている。チームとしてプレーの先を読み、危険なスペースをカバーし、敵を囲んでボールを奪い、すぐさま攻撃に転じる。以前のようにボールだけを追えばカットできるほど単純なスポーツではなくなった。より戦略的に、より組織的に戦わなければならない。やはり、サッカーにおいて“ハーモニー”は不可欠なファクターなのだ。

 何はともあれ、日本サッカーには明るい未来が待っているだろう。その根拠のひとつは、スペインの名門クラブから声がかかった久保建英(8月22日にレアル・マドリーからマジョルカにレンタル移籍)や安部裕葵(現FCバルセロナ)のように、新たな若い才能がどんどん生まれているところにある。
 若いうちから海外に行ってしまう現状に嘆く声もあるようだが、すでに述べたようにトッププレーヤーに触れることで選手は成長する。久保や安部らの活躍・成長が、ひいてはJリーグ、日本サッカーの発展につながると私は信じている。日本人の若手選手が海外のクラブで頭角を現すのは決して簡単なことではない。ただ、十分なポテンシャル、鉄の意志を備え、大志も抱く彼らがいずれトップレベルのステージで輝く可能性はある。

 私の知っている日本人は決して諦めない。きっと、今の若い世代もそこは不変であると信じたい。

 Jリーグが成長・発展するために重要な要素のひとつが、代表チームの躍進だ。今年のアジアカップ決勝で日本がカタールに敗れたのはとても残念な出来事だった。私は日本が勝つと確信していたのだが……。まあ、これもサッカーである。おそらく日本に足りないのは、絶対的な自信だ。己の力を信じるには、揺るぎないクオリティが不可欠だ。

 もうひとつ欠かせないファクターが真っ当なジャーナリズム。メディアの人間たちがサッカーを熟知したうえで報道すれば、このスポーツの本質を日本中の皆さんが理解できる。本当に価値があるもの、それはピッチの上でのプレーだ。移籍金やビジネスについてではない。

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