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日本代表

“今ひとつ“だった久保建英の出来。森保監督はなぜ得意の右サイドで起用しなかったのか

清水英斗

2020.10.14

 もう一つ、鎌田大地と久保のポジションは逆もありかもしれない。前半2分に鈴木のクロス、6分には伊東のクロスに久保が飛び込んだが、逆サイドから飛び込む形を想定するなら、鎌田のほうが適任だ。伊東がいれば右サイドのクロスは自然と増えるので、トップ下に久保、左サイドに鎌田のほうが適合する状況もあった。両翼か、片翼か。どちらも一長一短だが、試合の中で変化を付けても良さそうだ。

 今回は親善試合、つまりテストマッチだった。新しい組み合わせを模索する中で、このチームではトップ下の経験が少ない鎌田を置いて連係を探り、また、久保も慣れない左サイドで起用することで、何ができ、何が問題になるのかはよくわかった。
 
 穿った見方をするなら、久保がビジャレアルで対峙する問題の一つも、左サイド適応である。日本代表での左サイド起用も、意地悪采配というより、ともすれば親心采配かもしれない。つまり、この起用で何かきっかけをつかみ、ビジャレアルでポジションを獲ってほしい、と。ファンタジックな想像だが、森保監督は常々クラブでの活躍につながるプレーをしてほしいと発言しており、今回は中島翔哉についてもクラブとの関係を慮って招集外とした。久保を左サイド起用した理由の一つとして、真芯でなくとも遠からず、と思う。

 久保は特に序盤、得意ではない左サイドで、身体能力の高い相手とのマッチアップに苦戦していた。しかし、時間とともに中山とも協力しながら良いプレーを増やし、左サイドを崩してチャンスを作った。この19歳の適応力は、驚くほど高い。

 期待した起用ではなく、がっかりしたファンは多いだろう。だが、これも久保が今後紡ぎ出すヒストリーの一つ。次戦以降が楽しみだ。

文●清水英斗(サッカーライター)
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