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海外サッカー

【消えた逸材】飛行機事故に見舞われたシャペコエンセで再起を期す!11年のU-20W杯でMVPと得点王に輝いたエンリケ・アウメイダの今

沢田啓明

2019.10.03

18-19シーズン、レンタルで加入したベレネンセス時代のエンリケ・アウメイダ。  (C)Getty Images

18-19シーズン、レンタルで加入したベレネンセス時代のエンリケ・アウメイダ。 (C)Getty Images

「U-20W杯MVP」の肩書を引っ提げて加入するため、入団当初はいつも大きな期待を寄せられた。そして本人も自信たっぷりに抱負を語る。しかし、怪我なども多く、レギュラーポジションを奪えないまま不満を露わにして退団する。その繰り返しだった。

 それでも、輝きを放った時期があった。15年7月から南部の中堅クラブ、コリチーバにシーズン途中に移籍し、カンピオナットで20試合に出場して12得点をマークしたのだ。

「ついにあの男が覚醒したか」

 と話題になり、16年2月、満を持して名門グレミオに完全移籍した。

 いまにして思えば、ここが大きな分岐点だった。もしグレミオで活躍できていたら、欧州のビッグクラブやA代表への道が開けていたかもしれない。
 
 しかし、怪我やコンディション不良もあって精彩を欠き、16年シーズンのカンピオナットでわずか1得点。しかも、決定機を外し続けて途中交代を命じられた試合で、サポーターから罵声を浴びると、中指を立ててやり返した。この行為で完全にサポーターを敵に回し、チームでの居場所を失った。

 その後はトルコ2部のギレスンスポル、ポルトガル1部のベレネンセスを経て、19年7月から飛行機事故からの再建に向けて歩を進めるブラジルのシャペコエンセにレンタル移籍している(保有元はグレミオ)。

 ユース時代にブレイクを果たしたことで対戦相手から徹底的に研究されたのは事実ながら、一時的な成功に酔いしれ、継続的な努力を怠ったのが伸び悩んだ最大の要因だろう。怪我に見舞われる不運が、そこに重なった。

 現在28歳。本来ならキャリアのピークを迎えているべき時期である。だが、ここ数年のプレークオリティーは低下の一途を辿る。19年シーズンの後半にシャペコエンセで結果を残せなければ、さらに厳しい未来と現実が待っている。

文●沢田啓明

※『ワールドサッカーダイジェスト』2019年8月15日号より転載

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