一方、2018年からポルティモネンセの監督を務め、中島を指導する立場にあったアントニオ・フォーリャは、ポルトガルのサッカー専門メディア『MAISFUTEBOL』のインタビューで、当時の彼への印象などを語っている。

「彼はシャイな人間であり、“自分の世界”に住んでいる。ほとんど喋らず、いつも静かに音楽を聴いていた。 誰かが彼に話しかけると、彼は笑うだけだった。しかし、ピッチ内では、この笑顔が他の選手に伝染していった。彼にとってプレーすることは、大きな喜びだったのだ」
  「練習で私が怒声を上げても、彼は笑っていた」という恩師は、日本という欧州とは何もかもが異なる国からやって来た青年の特異性に言及する一方で、「ポルトで失敗したのが、彼の育った文化のせいなのかどうかは分からない」とも語っている。

　２人の指揮官の話からは、中島がテクニカル、タクティカル、フィジカルよりも、広義的な意味でのメンタル面に問題を抱えていたと想像できる。彼はこの先、強さを身につけてポルトでのリベンジに臨むのか、あるいはS・コンセイソン監督の言葉通り、「合う合わないの問題」と割り切り、来季は新たな活躍の場を求めるべきなのだろうか……。

構成●THE DIGEST編集部