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日本代表

シーズン終盤に差し掛かった今…クラブ&代理人はどう動く?選手エージェントが移籍市場の裏側を解説!

サッカーダイジェスト編集部

2019.11.09

山口のような代表クラスが移籍すると玉突きが起きやすい。だからこそ、〝大物〞の去就は話題になる。写真:徳原隆元

山口のような代表クラスが移籍すると玉突きが起きやすい。だからこそ、〝大物〞の去就は話題になる。写真:徳原隆元

テーマ2「代理人の動きと玉突きの仕組み」
市場の予兆を読み取り、常に次善策を打っていく

 代理人はまず8月頃に選手リストをクラブに送ります。最近はクラブからリストを要求されることも多いです。そのリストで、シーズン終了後にフリーになる選手や、放出候補を伝えるわけです。

 一方で、契約切れ間近の選手たちからまず、来季に向けた話をしていきます。「年俸を上げたい」とか、「移籍したい」とか、「クビになるかもしれないのでチームを探してほしい」といった選手各々の要望に応えていくのです。

 もっとも監督の去就問題など様々な要素が絡むので、なかなか相思相愛ですぐに移籍が決まるとは限りません。「J2には行きたくない」「単身赴任はできない」など、選手によって条件もありますから。誰しもが納得のいくステップアップをするわけではありません。そこで選択肢を増やしてあげるのが、代理人の仕事になります。

 一番避けたいのは、迷った挙句選手の所属先がなくなってしまう事態です。そういうことにならないように複雑に絡み合う移籍市場の予兆を読み取り、選手の選択肢を整理する必要があります。
 
 例えば、ある選手が複数のクラブからターゲットにされているとします。その選手を保有するクラブは、放出した際の穴埋めを考えますよね。そこで、興味を示しているクラブが他にどんな選手をリストアップしているのかを見ます。さらには、そこでリストに上がっている選手を他にどんなクラブが狙っているかまで徹底的に調べます。そうすると、どんどん選択肢は広がっていきます。

 そのため、「この選手がここに移ったら、次はこう動こう」と、クラブや私たち代理人は常に次善策を打っています。ですから〝玉突き移籍〞が起こるのです。

 昨年の動きで例えると、ポルトガルのポルティモネンセに移籍したGK権田修一に代わって、FC東京から大久保択生が鳥栖に加わる。そのFC東京には山形から児玉剛が行って、山形には熊本から佐藤昭大が移った。これは分かりやすい流れです。

 また、このGKの例のようにJ1クラブが口火を切って、それに合わせてJ2クラブが動くケースが多いです。J1に昇格したクラブがJ2に降格したクラブから選手を引き抜くケースも往々にしてありますね。

 もちろんJ1同士で玉突きも起きます。昨年のC大阪で言えば、山口蛍を手放す(神戸へ)代わりに、神戸から藤田直之を獲得しましたし、また杉本健勇の籍を浦和に移す代わりに、札幌のエース都倉賢を引き抜いた。こうやって、移籍というのは誰かが〝スイッチ〞の役割を果たして動き始めるのです。
 

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