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日本代表

シーズン終盤に差し掛かった今…クラブ&代理人はどう動く?選手エージェントが移籍市場の裏側を解説!

サッカーダイジェスト編集部

2019.11.09

今夏に名古屋からオランダのAZに活躍の場を移した菅原。こうした若手の海外流出はさらに増加しそうだ。(C)Getty Images

今夏に名古屋からオランダのAZに活躍の場を移した菅原。こうした若手の海外流出はさらに増加しそうだ。(C)Getty Images

テーマ③「今季の特徴」
大物助っ人は減少?若手の海外流出は…

 注目したいのは、誰がその〝スイッチ〞になるかです。こればかりは私たち代理人にも分かりません。もしかしたら今年契約が切れる選手ではないかもしれませんからね。さらに例年と同じように、残留争いや昇格レースが最終盤までもつれそうなので、今年も本格的に動き始めるのが年末にずれ込むかもしれません。

 また海外からは、それなりに名の知れた助っ人選手が来る可能性はあります。ただし戦力としては〝ハズレ〞になるリスクも少なくないので予想が難しいところです。神戸がアンドレス・イニエスタらを加えても上位にいけないところを見ると、やはりクラブ自らが出資して大物を取ってこようという動きは縮小していく。広告塔のように活用する目的があるならともかく、戦力として考えるだけなら、すでにJリーグで結果を出している選手を獲ったほうが、計算が立ちますからね。

 一方で、若手の海外流出はさらに増えそうです。この10月、11月はかなり多くの海外スカウトがJリーグの若手を視察に訪れることが予想されます。近年では世界中に拡大している「シティ・フットボール・グループ」のマンチェスター・シティをはじめ、欧州クラブの青田買いが進んでいて、日本もそのターゲットのひとつになっていますから。しかも最近はエージェントだけではなく、クラブの強化部が直接来てのやり取りも多いです。
 
 それだけ日本人選手の価値が上がっているということでしょう。昔はドイツのブンデスリーガで活躍してビッグクラブに行くというのが一般的な成功の流れでした。例えばドルトムントからマンチェスター・ユナイテッドに移籍した香川真司がその最たる例ですね。もしくはドイツ2部からスタートして1部に上がるとか。しかし清武弘嗣(現C大阪)、山口(現・神戸)、乾貴士(現エイバル)らも離れてしまい、今ではドイツの日本人は少なくなってしまった。それに代わって日本企業のDMM.comが経営権を持つシント=トロイデンが現われるなど、ステップアップのルートが多様化しています。

 また以前は日本代表であることが前提だったのに、実績よりも将来性が買われるようになった。A代表未招集で、Jリーグでもあまり出場してないような若手が引き抜かれているのは、ポテンシャルを評価されているからです。菅原由勢(AZ)、中村敬斗(トゥベンテ)、食野亮太郎(ハーツ)はそこまでJリーグでの実績はありませんでした。2017年に欧州移籍した鎌田大地(現フランクフルト)も当時は代表歴もなく、世界では無名な存在でした。

 ところが、そうした選手が実際に活躍するわけです。成長著しい日本人選手を先物買いしようと、ヨーロッパのクラブは目を光らせていますし、今冬もますますJリーグから海外移籍の動きが活発化するかもしれません。

構成●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

※『サッカーダイジェスト』20191114日より転載

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