そんなキャプテンのベイルについて、英国の日刊紙『The Guardian』は「３月24日のプレーオフ準決勝オーストリア戦でフル出場してからの10週間、レアル・マドリーではわずかに22分間プレーしただけのベイルだが、ウェールズ代表では今なおチームを引き上げられる存在である」と称賛。同国のレジェンドFWで、現在はコメンテーターを務めるディーン・ソーンダースはベイルを「ウェールズ史上最高のスポーツマン」と認め、同国メディアも同様の賛辞を32歳に贈っている。

『The Guardian』紙はまた、「ジョン・チャールズやライアン・ギグス、アイバー・オールチャーチやイアン・ラッシュの方を好む人々もいるだろうが、間違いないのは、ウェールズの代表ユニホームを着て、これほどの実績を築いた選手は他にいないということだ」とも指摘した。
  　７年前には14回目の挑戦にして初めてとなるEURO本大会出場に貢献し、今回は64年ぶりのW杯に母国を導いた功績はあまりに大きい。58年W杯予選では、すでに敗退を喫していたところを、急遽イスラエルとの対戦国に“抽選”で選ばれて本大会に駒を進めたという経緯を考えると、実質的にベイルは２つのメジャーイベントの初予選突破にエースとして貢献した偉人ということなる。

　時代によっては多数の世界的名手を擁していたスコットランドが11回のメジャーイベントで一度も１次ラウンドを突破できていないことがサッカー界の大きなミステリーであるのと同時に、ウェールズが64年間も国際舞台で沈黙を続けたことも世界のサッカーファンを驚かせたものである。同国メディア『Wales Online』は「これほどタレントが豊富でありながら、これまで本大会出場が果たせなかったことは、注目に値する。ウェールズの他には、地球上のどこにもこのような国は存在しない」と綴り、以下のように続けた。

「ライアン・ギグス、ラッシュ、ネビル・サウスオール、マーク・ヒューズ……さらにレイトン・ジェームス、ジョン・トシャック、クレイグ・ベラミー、ガリー・スピード、ケビン・ラトクリフetc. しかし今回、『W杯本大会に出場しない最高の選手』という厄介なリストから、ガレス・ベイルとアーロン・ラムジーの名前が削除された」