1997年６月３日、翌年に控えたフランス・ワールドカップのプレ大会である「トゥルノワ・ド・フランス」が、フランス代表、ブラジル代表、イングランド代表、イタリア代表による総当たり方式で開催された。歴史に残るスーパーゴールが誕生したのは、開幕戦となった開催国と世界王者の一戦だった。
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　リヨンで行なわれたフランス対ブラジルの一戦、21分にゴールから40メートル近くも離れた位置でFKを獲得した後者は、ロベルト・カルロスが長い助走からその太い左足を強振。パワーを注入されたボールはフランスが作った壁の右側を通り過ぎ、完全に枠を外れたかと思われた。

　だがしかし、そこから大きく軌道を変えたボールは右ポストを叩きながらゴールネットに突き刺さる。信じられないような弧を描いたボールを、GKファビアン・バルテスはただ見送るしかなかった。

「ロベカル」によるこの一撃は、サッカー界で話題になっただけでなく、その大きな曲がり方が科学の世界においても“研究対象”となったほどだ。これについて、ブラジルの総合メディア『Globo』が、伝説創成から四半世紀が経った今、「物理に逆らったゴール」として、改めてスポットライトを当てている。
  　ロベカルが左足で叩いたボールは回転しながら時速100キロを超えて前方に進んだが、この際にボールの右側は気圧が高く、左側は低くなるという「マグヌス効果」が生まれた結果、ボールは左側に円を描く動きを見せたのだというのが物理における説明だ。

　しかし、その曲がり方は他に類を見ないものであり、信じられないほどのキック力を持つこの伝説の左SBだけがなせる業であった。

　同メディアはまた、いまなおFKの歴代ベストゴールに挙げられるこの一撃について、ロベカル本人の「多くの人々が、あのゴールをどのように決めたのかを訊いてくる。そして、別の人々たちは、それを研究調査したものの、説明することはできなかった。私自身、あれほどカーブするとは思っていなかったが、ゴールに入ることは確信していた」との回想コメントも紹介している。