マンCで加入１年目にしてプレミアリーグとチャンピオンズリーグ（CL）を制する原動力となり、いずれにおいても得点王に輝き、ゴールデンシュー（欧州最多得点）も手にした23歳のノルウェー代表FWは、フランス代表FWのキリアン・エムバペと並んで（あるいは彼以上の）メッシのライバルと目されており、メッシも表彰式では「ハーランドとエムバペについて触れないわけにはいかない。彼らは素晴らしいシーズンを過ごした。特にハーランドは、疑いなくこの賞に相応しい」と語ったほどだ。

　そして、今回の選定についてはやはり賛否両論が巻き起こり、不満を露にする者も少なくはない。ドイツのかつての闘将で1990年の受賞者でもあるローター・マテウスは、スポーツ専門チャンネル『Sky Sports』に対し、「１年を通じて、ハーランドはメッシよりも優れたパフォーマンスを見せた。私からすれば、ハーランドを落とすという選択肢はなく、メッシは勝者に相応しくない。私はメッシのファンだが、今回の選定は茶番だ」と批判。W杯ではなく、12か月間のパフォーマンスや結果を重視すべきだと主張した。

　また、ノルウェーの日刊紙『Verdens Gang』も、この表彰式においてクラブと代表チームでの得点の合計数が最も多い選手に贈られる「ゲルト・ミュラー・トロフィー」を獲得したハーランドの、バロンドールにおける次点（２位）という結果を称賛する一方で、「長いシーズンを通じて、メッシを上回る数字を残したスーパーストライカーが、表彰台の一番上に立つべきだったと我々は信じている」と綴った。
  「国民感情を置いても、冷静な論理で考えれば、勝者はノルウェー人であるべきだった。ハーランドのマンCでのデビューシーズンにおける数字は非現実的で、クレージーなものだ。プレミアリーグでの35試合で36得点、CLでは11試合で12得点。チームが『トレブル』を達成したシーズンで、クラブと代表チーム合わせて合計56得点を記録した。彼が世界最高のサッカー選手に選ばれるための争いで、これ以上何が必要なのか？　もはや、彼は違う国のパスポートを手にする必要があるだろう」

　同メディアは、メッシのW杯における群を抜いた働きぶりに対しては敬意を表し、賛辞を贈ったが、バロンドールの評価基準の曖昧さを指摘し、またW杯出場国とそうでない国という同じ土俵に立っていない選手が「W杯重視」の見地において比較されることの“やるせなさ”を示している。