男子サッカーにおいても、1985-86シーズンのチャンピオンズカップ(現リーグ)決勝でバルセロナがステアウア・ブカレストに対して4本全てのPKを外した他、2014年のリーグカップ準決勝サンダーランド戦におけるマンチェスター・ユナイテッドの5本中4本の失敗などが紹介されているが、EURO2025ではイングランド対スウェーデン戦が他の試合にも“感染”し、スペインがスイスを破る際に2本のPKを外し、ドイツもフランス戦で69分に逆転の最大のチャンスを逸した。
「PK戦はおそらく、サッカーにおいて心理面が最も重要な要素となる領域にある。2006年のワールドカップでは、開催国ドイツのGKイェンス・レーマンが、ホテルのメモ用紙に相手選手の癖などを書きとめ、準々決勝アルゼンチン戦のPK戦ではソックスの中にしのばせたそれを確認。実際、そのメモに書かれていた選手の中でキッカーを務めたのは2人だけだったが、その行為はアルゼンチンを不安にさせ、2-4の敗北に追い込んだ」
今やGKは、PKの際にどちらへ飛ぶかを判断するための多くのデータを有しており、EURO2025ではドイツのGKアン=カトリン・ベルガーが水分補給用のボトルにメモを貼って持ち込み、「左に飛べ」との記述に従った結果、ドイツを失点から救っているが、このメモはテレビにも映し出されていたため、「誰かがフランス側にそれを伝え、キッカーに蹴る方向を変えるよう伝えることもできたかもしれない」と同メディアは指摘するが、「逆に普段と違うキックを要求することで失敗のリスクを高めたかもしれない」とも付け加えた。
「これこそがPK戦における、ゲーム理論(駆け引き)の醍醐味だ」との見解を示す同メディアは、「VARの導入によって『キックの瞬間に前に一歩出る』という行為が禁止されて一時的にGKは不利になったが、片足をゴールラインに残しながら、もう片方の足で前に出るという方法で克服。一方、キッカーは助走中にタイミングをずらしてGKの動きを見てから蹴るという技術を身につけた。しかし、GKはこれに対してデータを駆使し、こうしたフェイントを予測するようになった――」と、双方のPKにおける進化を説明する。
ちなみに、昨季の男子のリーグ(プレミアリーグ)では、PKの成功率は83.13%で、歴史的には高いが、前のシーズンからは6%以上低下したという。さらにその前のシーズンでは74.75%……。過去30年間のPK成功率には、はっきりとしたパターンを見つけることはできず、最低だった2001–02シーズンの65.75%から、一昨季の最高値まで、様々である。
「PKは外すこともあれば、決まることもある。キッカーが有利になることもあれば、GKに流れが移ることもある。時にはパニックが支配する。しかし、それでもなお、PKの成功率は概ね75~80%で保たれている。バランスは保たれているのだ」と綴って記事を締めた同メディア。日進月歩のサッカーという競技において、淘汰されることのなかった「12ヤード」の戦いは、今後も多くの興奮やドラマを生み出していくのだろう。
構成●THE DIGEST編集部
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「これこそがPK戦における、ゲーム理論(駆け引き)の醍醐味だ」との見解を示す同メディアは、「VARの導入によって『キックの瞬間に前に一歩出る』という行為が禁止されて一時的にGKは不利になったが、片足をゴールラインに残しながら、もう片方の足で前に出るという方法で克服。一方、キッカーは助走中にタイミングをずらしてGKの動きを見てから蹴るという技術を身につけた。しかし、GKはこれに対してデータを駆使し、こうしたフェイントを予測するようになった――」と、双方のPKにおける進化を説明する。
ちなみに、昨季の男子のリーグ(プレミアリーグ)では、PKの成功率は83.13%で、歴史的には高いが、前のシーズンからは6%以上低下したという。さらにその前のシーズンでは74.75%……。過去30年間のPK成功率には、はっきりとしたパターンを見つけることはできず、最低だった2001–02シーズンの65.75%から、一昨季の最高値まで、様々である。
「PKは外すこともあれば、決まることもある。キッカーが有利になることもあれば、GKに流れが移ることもある。時にはパニックが支配する。しかし、それでもなお、PKの成功率は概ね75~80%で保たれている。バランスは保たれているのだ」と綴って記事を締めた同メディア。日進月歩のサッカーという競技において、淘汰されることのなかった「12ヤード」の戦いは、今後も多くの興奮やドラマを生み出していくのだろう。
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