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Jリーグ・国内

自己破産から15年…サッカーシューズの名門はいかにして甦ったのか?喜びの声から生まれたビジョンとは――

手嶋真彦

2020.09.13

 すでに先行予約を受け付けているYASUDAの最新モデルは、木型と金型がどちらも一新されている。狙いのひとつに軽量化があり、前作までと比べると60グラム軽くなる。

「たしかに履いてしまえば、わかりません。でも、こうやって持つと、ぜんぜん違います」

 代表取締役の佐藤は、最新モデルのサンプルを手にしたまま話を続ける。
「今回変えたのは、木型や金型だけではありません。それこそすべてです」

 理由は、明らかだろう。
「応援してくださるファンの皆様に、よく言われます。今度こそヤスダを潰さないでくれよって」

 生き残っていくためには、変化も必要だ。プロダクトディレクターの寺久保要は、「進化」という言葉を使う。
「昔ながらのヤスダのスパイクに、進化した素材や製法をいかに採り入れて、今のニーズに合わせた製品を作っていくか。ソールに使う樹脂や、ソールとアッパーを貼り付ける接着剤も進化しています」
 
 試行錯誤の結果、到達したのが最新モデルで、ヤスダらしさを大切にしながら、細部にまでこだわり、進化を遂げていると言う。

 代名詞のオールカンガルーレザーにも、改良を施している。基本はカンガルーレザーのまま、靴ひもで擦れて摩耗しやすいベロ(シュータン)の素材は、より耐久性の高い牛革にした。ベロの内側と靴底(インソール)のかかと寄りは、滑り止めの機能を持つ豚革に素材を変更している。コストを考えても、高級品のカンガルーレザーを減らしたほうが原価は下がる。原価が下がった分、商品価格を安くできる。

 履き口周りには、ローバックスタイルを採用した。
「最近の主流は、かかとを高くして、アキレス腱まで覆うスタイルですが……」

 寺久保は、だからこそ、かかとを低くしたのだと話を続ける。
「かかとが高いと、足首までスポッと入ります。だからホールド感があって良いと評価する人も、逆にアキレス腱に当たって痛いと訴える人もいるんです」
 

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