スミス記者いわく、一昔前であれば、トップレベルに固執しなくても移籍先にいくつかの選択肢があったとし、いわゆる「欧州のメガクラブ」ではないものの、格式と伝統のあるクラブでプレーできたという。具体例を挙げるなら、バレンシアやドルトムント、ローマやマルセイユといった強豪だ。
つまり、国際的な知名度が十分にあり、一定のサラリーを稼げるクラブへ移籍で「CLに出場していれば名声を維持しながら、少しずつキャリアのレベル下げていくことができた」ということだ。さらに同記者は「そこからトルコやロシア、もしくは中国や中東のクラブで稼ぐというやり方もあった」とも付け加えている。
だが、そういったオプションが、C・ロナウドにとって「現実的なもの」だったのは過去の話である。
ロシア移籍はウクライナ侵攻によってなくなり、数年前に数多のスター選手たちがひしめいていた中国サッカー界も経済不況のあおりを受けて急激に縮小。また、トルコも不景気で以前ほどの財力はなく、C・ロナウドやメッシのようなスーパースターを獲得できる資金は持ち合わせていない。
そうした状況下で最も有力な移籍候補と見られたのは、ポルトガルの古豪スポルティング・リスボン。自身がキャリアをスタートさせたクラブを「欧州最後のクラブ」として選ぶのは、最高にロマンチックなストーリーになるはずだった。
だが、実際には、本人のサラリーがネックとなって、両クラブは交渉テーブルにつきすらしなかった。さらにスミス記者は、「資金面もそうだが、現在のスポルティングのコンセプトやクラブの目指すプロジェクトに、ロナウドの存在が合わないということもあったようだ」と交渉の舞台裏を指摘している。
そんな折の今回のインタビューだ。爆弾を投下した“チーム・ロナウド”には、ある程度の移籍の目算があるに違いない。マンチェスター・U側が「放出しなくてはいけない状況」を作り出し、その受け皿となるクラブが用意されていると判断していいはずだ。さもなければ、決して長くはない選手キャリアを考えても、あまりにも無謀な行動ではないだろうか。
もしくは、カタール・ワールドカップでの活躍を計算に入れ、キャリア最大のギャンブルに打って出たのだろうか。果たして、サッカー界が生んだ稀代の英雄は、いかなる形でサッカー人生を締めくくるのだろうか。
取材・文●松澤浩三
Text by Kozo Matsuzawa
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つまり、国際的な知名度が十分にあり、一定のサラリーを稼げるクラブへ移籍で「CLに出場していれば名声を維持しながら、少しずつキャリアのレベル下げていくことができた」ということだ。さらに同記者は「そこからトルコやロシア、もしくは中国や中東のクラブで稼ぐというやり方もあった」とも付け加えている。
だが、そういったオプションが、C・ロナウドにとって「現実的なもの」だったのは過去の話である。
ロシア移籍はウクライナ侵攻によってなくなり、数年前に数多のスター選手たちがひしめいていた中国サッカー界も経済不況のあおりを受けて急激に縮小。また、トルコも不景気で以前ほどの財力はなく、C・ロナウドやメッシのようなスーパースターを獲得できる資金は持ち合わせていない。
そうした状況下で最も有力な移籍候補と見られたのは、ポルトガルの古豪スポルティング・リスボン。自身がキャリアをスタートさせたクラブを「欧州最後のクラブ」として選ぶのは、最高にロマンチックなストーリーになるはずだった。
だが、実際には、本人のサラリーがネックとなって、両クラブは交渉テーブルにつきすらしなかった。さらにスミス記者は、「資金面もそうだが、現在のスポルティングのコンセプトやクラブの目指すプロジェクトに、ロナウドの存在が合わないということもあったようだ」と交渉の舞台裏を指摘している。
そんな折の今回のインタビューだ。爆弾を投下した“チーム・ロナウド”には、ある程度の移籍の目算があるに違いない。マンチェスター・U側が「放出しなくてはいけない状況」を作り出し、その受け皿となるクラブが用意されていると判断していいはずだ。さもなければ、決して長くはない選手キャリアを考えても、あまりにも無謀な行動ではないだろうか。
もしくは、カタール・ワールドカップでの活躍を計算に入れ、キャリア最大のギャンブルに打って出たのだろうか。果たして、サッカー界が生んだ稀代の英雄は、いかなる形でサッカー人生を締めくくるのだろうか。
取材・文●松澤浩三
Text by Kozo Matsuzawa
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