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海外サッカー

超寡黙なメッシが「喋り始めた」理由。今や敵将と言い争うまでに…

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2020.02.01

19年12月7日のマジョルカ戦では、試合中に敵将モレーノと激しく口論。「新しいメッシ」は感情の起伏を隠さない。(C)Getty Images

19年12月7日のマジョルカ戦では、試合中に敵将モレーノと激しく口論。「新しいメッシ」は感情の起伏を隠さない。(C)Getty Images

 もちろん、このメッシ変貌が問題を生み出すケースもある。例えば19年11月15日にサウジアラビアで開催された南米クラシコ(ブラジル対アルゼンチンの親善試合)。相手選手と諍いを起こしたり、レフェリーに暴言を吐いたりすることがほとんどなかったメッシが、感情を露わにしたのだ。

 試合はアルゼンチンが前半13分にメッシのゴールで先制。ブラジルのチッチ監督は後半、メッシのファウルに対して「イエローカードだろ!!」と主審にアピールした。

 その後に展開されたシーンは、この目で見ていなければ信じられなかったろう。メッシはチッチに近づくと、口に指をあてて「黙れ!!」と言ったのだ。チッチはかなり驚いたようで、試合後にブラジルの選手たちにこう言ったという。

「私はなんと、あのメッシに黙ってろと言われたよ」
 
 また19年12月7日のマジョルカ戦(ラ・リーガ16節)では、同じく相手指揮官と言い争いを演じた。メッシはタッチライン際でファウルを受けて、イエローカードじゃないかと主張。これを目の前にいたマジョルカのビセンテ・モレーノ監督に咎められると、なんと激しく言い返したのだ。相手を指差しながらだ。1年前では考えられないような光景だった。

 シャイで寡黙だった少年は、青年となって自らの胸の内を発信しはじめた。きっとこれからは、ピッチ内外でどんどん「本当のメッシ」を見せてくれるはずだ。史上最高のフットボーラーのビジョンを、我々は大いに堪能すべきだろう。

文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子
※『ワールドサッカーダイジェスト』2019年1月2日号より転載

【著者プロフィール】
リカルド・セティオン/1963年8月29日生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。ジャーナリストとして中東戦争やユーゴスラビア紛争などを現地取材した後、社会学としてサッカーを研究。スポーツジャーナリストに転身する。8か国語を操る語学力を駆使し、世界中を飛び回って現場を取材。多数のメディアで活躍する。FIFAの広報担当なども務め、ジーコやカフーなどとの親交も厚い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭も執っている。
 

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