フォアのアングルショットで相手を追い出すと、返球をフォアで逆クロスに浅く沈めウイナーにする。あるいは、相手の強打を高い軌道のボールで深く返して、ミスを誘う。
テニス四大大会「全米オープン」2回戦、大坂なおみが対戦したヘイリー・バプティストは、強打もあればスライスやドロップショットも巧みに操る、クレバーな業師。その難敵を大坂は、力でねじ伏せるのではなく、コースの打ち分けやポイントの組み立てで、知的かつ効果的に攻略した。
6-3、6-1というスコア以上に、13対14のウイナー数と、13対24のアンフォーストエラーの数字にこそ、この試合の本質が映し出される。強風も考慮した、大坂の技ありの勝利だった。
今大会が始まる前、約1カ月前からタッグを組む新コーチのトーマス・ビクトロウスキ氏につき、大坂は次のように語っていた。
「彼は時々、コートの絵を描いて『このような時は、ここにショットを打つのが良い』『この時は、こういう選択肢があり得る』と、マーカーで示してくれるの」
つまりは戦略性やポイント構築のセオリーこそが、新コーチが大坂に与えてくれた新たな視座。その成果はこの試合で、まさにコートに描かれた。試合後に大坂は、次のように語っている。
「トーマスは、ショットの打ち分けが大切であり、常にウイナーを狙う必要がないとよく言っている。今日も、コースの打ち分けとリターンに、とても満足している」
加えてこの日は、初戦で課題に挙げていた「試合中の態度や姿勢」に、大きな改善が見られた事実を喜んだ。
「今日は、とんでもないスーパーショットを決められても、ポジティブかつ冷静でいられた」
それが、手にしたカードを効果的に切ることのできた、最大の理由でもあるだろう。
ならば3回戦は、それらの取り組みの真価が、一層問われる試合になる。対戦相手は、ダリア・カサキナ。長くトップ20位を張る“大坂世代”の1人であり、技と頭脳を兼備する、戦略家にしてファイターだ。
同じように上位への道を歩んできた同期の2人だが、意外なことに、過去の対戦はわずかに2度。初対戦は7年前の「BNPパリバ・オープン」(インディアンウェルズ)決勝で、それを含み大坂が2連勝中だ。
カサキナは、今大会での来たる大坂との対戦について、次のように語った。
「本当に、タフなドロー。とても厳しい試合になると思います。オンコートでも言った通り、ナオミは調子を取り戻し、すごく良いプレーをし始めている。自信もあるでしょう。ナオミのように、攻撃的でサーブも良い選手との対戦は、ハードコート......、特にここのように速いコートでは、常に難しい。
私がすべきは、コート上で全力を尽くし、魂を込めてプレーすること。その結果がどうなるかは、蓋を開けてのお楽しみ」
さらには、2人の歩みについても、次のように回想する。
「ドローというのは不思議なもので、2大会に1度の頻度で当たる選手がいれば、5年も対戦していない選手もいる。ナオミとは同じ大会に多く出ているのに、いつもドローの反対側だったように思います。確か、2度しか対戦していないのかな。初めてインディアンウェルズで対戦した時、私は21歳でした」
その時のインディアンウェルズ大会の企画で、カサキナが大坂に“股抜きショット”を教えたのも、今となっては懐かしい思い出。
技と戦略性も獲得した大坂と、経験と試合運びに磨きをかけたカサキナの3度目の対戦は、両者にとって、今大会の最初の大きな山場になる。
現地取材・文●内田暁
【動画】大坂なおみが戦略的なテニスでバプティストを下した全米OP2回戦ハイライト
【画像】大坂なおみはじめ、2025全米オープンを戦う女子トップ選手たちの厳選フォト
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テニス四大大会「全米オープン」2回戦、大坂なおみが対戦したヘイリー・バプティストは、強打もあればスライスやドロップショットも巧みに操る、クレバーな業師。その難敵を大坂は、力でねじ伏せるのではなく、コースの打ち分けやポイントの組み立てで、知的かつ効果的に攻略した。
6-3、6-1というスコア以上に、13対14のウイナー数と、13対24のアンフォーストエラーの数字にこそ、この試合の本質が映し出される。強風も考慮した、大坂の技ありの勝利だった。
今大会が始まる前、約1カ月前からタッグを組む新コーチのトーマス・ビクトロウスキ氏につき、大坂は次のように語っていた。
「彼は時々、コートの絵を描いて『このような時は、ここにショットを打つのが良い』『この時は、こういう選択肢があり得る』と、マーカーで示してくれるの」
つまりは戦略性やポイント構築のセオリーこそが、新コーチが大坂に与えてくれた新たな視座。その成果はこの試合で、まさにコートに描かれた。試合後に大坂は、次のように語っている。
「トーマスは、ショットの打ち分けが大切であり、常にウイナーを狙う必要がないとよく言っている。今日も、コースの打ち分けとリターンに、とても満足している」
加えてこの日は、初戦で課題に挙げていた「試合中の態度や姿勢」に、大きな改善が見られた事実を喜んだ。
「今日は、とんでもないスーパーショットを決められても、ポジティブかつ冷静でいられた」
それが、手にしたカードを効果的に切ることのできた、最大の理由でもあるだろう。
ならば3回戦は、それらの取り組みの真価が、一層問われる試合になる。対戦相手は、ダリア・カサキナ。長くトップ20位を張る“大坂世代”の1人であり、技と頭脳を兼備する、戦略家にしてファイターだ。
同じように上位への道を歩んできた同期の2人だが、意外なことに、過去の対戦はわずかに2度。初対戦は7年前の「BNPパリバ・オープン」(インディアンウェルズ)決勝で、それを含み大坂が2連勝中だ。
カサキナは、今大会での来たる大坂との対戦について、次のように語った。
「本当に、タフなドロー。とても厳しい試合になると思います。オンコートでも言った通り、ナオミは調子を取り戻し、すごく良いプレーをし始めている。自信もあるでしょう。ナオミのように、攻撃的でサーブも良い選手との対戦は、ハードコート......、特にここのように速いコートでは、常に難しい。
私がすべきは、コート上で全力を尽くし、魂を込めてプレーすること。その結果がどうなるかは、蓋を開けてのお楽しみ」
さらには、2人の歩みについても、次のように回想する。
「ドローというのは不思議なもので、2大会に1度の頻度で当たる選手がいれば、5年も対戦していない選手もいる。ナオミとは同じ大会に多く出ているのに、いつもドローの反対側だったように思います。確か、2度しか対戦していないのかな。初めてインディアンウェルズで対戦した時、私は21歳でした」
その時のインディアンウェルズ大会の企画で、カサキナが大坂に“股抜きショット”を教えたのも、今となっては懐かしい思い出。
技と戦略性も獲得した大坂と、経験と試合運びに磨きをかけたカサキナの3度目の対戦は、両者にとって、今大会の最初の大きな山場になる。
現地取材・文●内田暁
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