プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単に叩き込む。なぜあんなボールが打てるのか? その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は亜細亜大学出身のサウスポー、日本ランキング最高6位の松田美咲選手の3回目だ。早いタイミングでの両手バックの強打について教えてもらった。
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私がフォアでクロスに押し込むと、右利きの相手はバックになるので、遅れてこちらのバックに浅く返ってきがちです。フォアでいいボールが打てた時はそれを予想し、前に入って両手バックで強打するチャンスをうかがっています。私はニュートラルなラリーでも、フォアに比べてバックのタイミングが早めなのですが、それよりもっと早くして叩きます。
その際に大切なのは、ボールに対して後ろから前に入ることです(写真2~4コマ目)。深さによって多少斜め前になることはありますが、とにかく横からは入らず、なるべく前を心掛けています。スタンスはスクエアか軽いクローズドぐらいです。
うまく前に入るには右足(後ろ足)を置く位置が鍵になります。左足で合わせにいくのではなく、ボールに右足を近づけるようにして軸足として決めます(3コマ目)。ボールに向かって右足を踏み込む感じですね。私は何も考えないとボールが遠くなる傾向があるので、これは特に重視しています。
スイングに関しては、下からこすり上げず、ボールに対して真っすぐ当てるのがポイントです(6コマ目)。テイクバックをできるだけ早くすると(2~3コマ目)、振り出した時に真っすぐ当てやすくなります。タイミングを早くするぶん時間がないので、ボールが来るまでに完了するのが目安です。これはコースを隠すことにもつながります。
また、引いた時にラケットダウンはなるべく抑えたいですね。調子が悪い時は「ヘッド寝てるな」と自分で思うこともあるので、そこは気を付けています。
あとは、打点を肩より上に取らないようにしています(6コマ目)。肩より高いと力が伝わりにくくなりますから。自分から前に入る時というのは、だいたい相手のボールが高く弾むし、なおかつタイミングも早めると高くなりすぎます。だから、ボールがバウンドして頂点に行く前に、肩の高さまでで打つのが理想です。
細かく言うと、肩の高さで打てるポイントは頂点に行く前と行った後の2回あって、この写真では後の方ですが、私の持ち味はタイミングの早さなので、できるだけ前の方を狙っています。両手打ちは、高い打点で打つ時に身体が倒れがちなので、軸が折れないようにするのも意識しているところです。
【プロフィール】松田美咲/まつだみさき
1998年8月21日、埼玉県生まれ。159cm、左利き。亜細亜大学でインカレ室内連覇を飾り、卒業後プロ転向。サウスポーから繰り出す強烈なトップスピンを武器とし、23年にインドW25でITF初優勝。WTAランク最高254位、国内最高6位を記録する。23年ユニバ代表、ダブルスもITF通算9勝と得意。エームサービス所属。
構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2024年3月号より再編集
【連続写真】早いタイミングで強打した松田美咲の両手バックハンド『30コマの超分解写真』
【関連記事】スライスサービスは切りすぎないこと。松田美咲が意識するコツは「こすりながら返すイメージ」【プロが明かすテニス上達法】<SMASH>
【関連記事】強烈スピン“エッグボール”のコツを松田美咲が伝授! お尻と股関節で身体のひねりを生み出せ【プロが明かすテニス上達法】<SMASH>
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私がフォアでクロスに押し込むと、右利きの相手はバックになるので、遅れてこちらのバックに浅く返ってきがちです。フォアでいいボールが打てた時はそれを予想し、前に入って両手バックで強打するチャンスをうかがっています。私はニュートラルなラリーでも、フォアに比べてバックのタイミングが早めなのですが、それよりもっと早くして叩きます。
その際に大切なのは、ボールに対して後ろから前に入ることです(写真2~4コマ目)。深さによって多少斜め前になることはありますが、とにかく横からは入らず、なるべく前を心掛けています。スタンスはスクエアか軽いクローズドぐらいです。
うまく前に入るには右足(後ろ足)を置く位置が鍵になります。左足で合わせにいくのではなく、ボールに右足を近づけるようにして軸足として決めます(3コマ目)。ボールに向かって右足を踏み込む感じですね。私は何も考えないとボールが遠くなる傾向があるので、これは特に重視しています。
スイングに関しては、下からこすり上げず、ボールに対して真っすぐ当てるのがポイントです(6コマ目)。テイクバックをできるだけ早くすると(2~3コマ目)、振り出した時に真っすぐ当てやすくなります。タイミングを早くするぶん時間がないので、ボールが来るまでに完了するのが目安です。これはコースを隠すことにもつながります。
また、引いた時にラケットダウンはなるべく抑えたいですね。調子が悪い時は「ヘッド寝てるな」と自分で思うこともあるので、そこは気を付けています。
あとは、打点を肩より上に取らないようにしています(6コマ目)。肩より高いと力が伝わりにくくなりますから。自分から前に入る時というのは、だいたい相手のボールが高く弾むし、なおかつタイミングも早めると高くなりすぎます。だから、ボールがバウンドして頂点に行く前に、肩の高さまでで打つのが理想です。
細かく言うと、肩の高さで打てるポイントは頂点に行く前と行った後の2回あって、この写真では後の方ですが、私の持ち味はタイミングの早さなので、できるだけ前の方を狙っています。両手打ちは、高い打点で打つ時に身体が倒れがちなので、軸が折れないようにするのも意識しているところです。
【プロフィール】松田美咲/まつだみさき
1998年8月21日、埼玉県生まれ。159cm、左利き。亜細亜大学でインカレ室内連覇を飾り、卒業後プロ転向。サウスポーから繰り出す強烈なトップスピンを武器とし、23年にインドW25でITF初優勝。WTAランク最高254位、国内最高6位を記録する。23年ユニバ代表、ダブルスもITF通算9勝と得意。エームサービス所属。
構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2024年3月号より再編集
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