海外テニス

観客の咳を非難したことで大炎上したムゼッティ、中国の別大会でも「毎ポイント咳をするなんてあり得ない」と再び苦言<SMASH>

中村光佑

2025.10.10

「中国オープン」で観客の咳に苦言を呈したことにより大バッシングを受けたムゼッティは、現在開催中の「上海マスターズ」でも観客の咳に悩まされながらプレーを続け4回戦で敗れた。(C)Getty Images

 現在開催中の男子テニスツアー公式戦「ロレックス上海マスターズ」(10月1日~12日/中国・上海/ハードコート/ATP1000)でベスト16に進出した世界ランキング9位のロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)が、「観客の咳」を咎める自身の発言を謝罪してからも「落ち着かない気持ちのままプレーを続けていた」と告白している。

 ムゼッティの言動が物議を醸したのは北京で行なわれた先日の「中国オープン」(ハード/ATP500)でのこと。1回戦でジオバンニ・ペチ・ペリカール(フランス/現37位)にフルセットで勝利したものの、試合中に観客席から繰り返し咳が聞こえたことに苛立ち、喉を指さすジェスチャーと共に暴言を吐いたと報じられた。

 イタリア語で「3秒ごとに咳をしている輩がいる」と発言した他、中国メディア『澎湃新聞』は「クソ中国人」との言葉もあったと報じ、この情報は海外メディアを通じて拡散。その後国営紙『環球時報』も「中国国内外のSNSで論争を引き起こした」と伝え、SNSでは「人種差別的だ」「中国人ファンを侮辱した」とムゼッティへの批判が殺到していた。

 北京ではベスト8に進出するも、19歳の新鋭ラーナー・ティエン(アメリカ/現36位)と対戦した準々決勝で左脚の負傷により途中棄権を余儀なくされたムゼッティ。9月27日には一連の報道を受けて自身のSNSで「自分の表現の仕方が間違っており、不適切でした」と謝罪の意を表明していたが、彼は今回の上海でも観客の咳に不満を漏らしたとのことだ。
 
 海外メディア『UBITENNIS』などによると、現地8日のフェリックス・オジェ-アリアシム(カナダ/同13位)との4回戦では、主審に「ポイント間では観客に咳を控えるよう伝えてほしい」と要求。「数回なら分かるけど、毎ポイント咳をするなんてあり得ない。あまりにひどいから何か言ってくれ」と伝えたとされている。中には意図的と思われるほど非常に大きな咳をした観客もいたという。

 結局この試合に4-6、2-6で敗れベスト8進出を逃したムゼッティは、試合後に応じた母国イタリアのテニス専門サイト『Spazio Tennis』で上記の発言によって「自分に不利な雰囲気をつくってしまった」と前置きし、次のように語った。

「この中国での1カ月は簡単ではなかった。北京での一件があって以来、ずっと居心地が悪かった。そのことが頭の中にあって、たとえ味方してくれるファンがいたとしても影響があった。緊張が押し寄せてしまい、それが試合にも悪い影響を及ぼした」

 世界を転戦するテニス選手には、開催国の文化を理解し、言動に一層の注意を払うことが求められている。だからこそ、ムゼッティの発言が未だ尾を引いているのも無理はない。

文●中村光佑

【動画】ムゼッティが観客の咳を気にしながらプレーをして敗れた「上海マスターズ」4回戦ハイライト

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