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海外テニス

ケイレンで動けないメドベージェフに主審が“努力義務違反”で警告! ATPが誤審を認めて罰金取り消しに<SMASH>

中村光佑

2025.10.01

ティエンとの試合中、ケイレンで動けなくなったメドベージェフに無情にも主審から警告が…。抗議するも認められなかったが、後からATPが誤審を認めた。(C)Getty Images

ティエンとの試合中、ケイレンで動けなくなったメドベージェフに無情にも主審から警告が…。抗議するも認められなかったが、後からATPが誤審を認めた。(C)Getty Images

 本日まで開催の男子テニスツアー「中国オープン」(9月25日~10月1日/中国・北京/ハードコート/ATP500)での“誤審”がテニス界で物議を醸している。

 問題が発生したのは現地30日に行なわれたダニール・メドベージェフ(ロシア/元世界ランキング1位/現18位)とラーナー・ティエン(アメリカ/同52位)によるシングルス準決勝でのこと。この試合はブレーク合戦となった第1セットをメドベージェフが7-5で先取したが、第2セットは5-7で落として1セットオールに持ち込まれ、勝負のファイナルセットもメドベージェフが第1ゲームでいきなりブレークを許す苦しい展開となる。

 すると直後の第2ゲームでメドベージェフに異変が......脚のケイレンに見舞われて全く動けなくなり、リターンすらままならない状態に陥ったのだが、ティエンがサービスエースを決めて40-15とした直後、なんと主審はメドベージェフが“ベスト・エフォート”(最善の努力を尽くす義務)の規定に違反したとして警告を与えたのだ。

 これを受けてメドベージェフは主審に抗議。スーパーバイザー(大会運営責任者)が介入する事態にも発展したが、判定は覆ることなく試合は再開された。最終的にメドベージェフはティエンに4ゲームを連取されたところで途中棄権を表明し、2時間26分で準決勝敗退となった。
 
 今回のベスト・エフォート違反により罰金を科されることとなっていたメドベージェフ。しかし男子ツアーを統括するATP(男子プロテニス協会)は1日に発表した公式声明で「事案を精査した結果、ATP審判部は“ベスト・エフォート違反”の警告が誤って出されたことを確認しました」と報告し、同選手への罰金を取り消す意向を表明した。すでにメドベージェフ側にもその旨を伝えたと説明している。

 ちなみにプロテニスでは、ケイレンに対して寛容な対応は取られていない。通常の負傷では試合中でも1カ所につき3分間のメディカルタイムアウトを取れるが、ケイレンに関しては「体力消耗が招く自然現象」の1つと見なされており、1分半のチェンジエンドで処置を受けなくてはならない。

 1995年の全米オープン1回戦で、松岡修造(元46位)が試合中に全身ケイレンで倒れたのを機に、その後しばらくは治療を受けられるルールとなったが、それを悪用して対戦相手のリズムを乱そうとする選手が出てきたため、再びメディカルタイムアウトの対象外となった経緯がある。

 今回の主審の判断は、そうした背景が関係している可能性も否定はできない。選手の健康への配慮と平等な試合進行の両立の難しさを改めて示す事例となった。

文●中村光佑

【動画】中国オープン準決勝ハイライト(メドベージェフ対ティエンは4分50秒頃から)

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