北京で開催中の男子テニスツアー「中国オープン」(9月25日~10月1日/ATP500)の準々決勝で、世界ランキング9位のロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)が左脚の負傷により途中棄権した。だが会場は冷ややかで、23歳のイタリア人には容赦ないブーイングが浴びせられた。
対戦相手はアメリカの新鋭ラーナー・ティエン(52位)。ムゼッティは第1セットを6-4で先取するも、第2セット以降に左太腿の違和感を訴え、第2セットを3-6で落とす。第3セットも0-3とリードを許したところで、棄権を申し入れた。
試合後には「非常に危険な相手に対して素晴らしい第1セットを戦えていた。残念だが大きなケガではないと思うし、上海までに回復できることを願っている」と語ったが、退場時の観客の反応は冷淡だった。
異例の敵意の背景には、大会序盤の振る舞いがある。ムゼッティは1回戦でジオバンニ・ペチ・ペリカール(フランス/36位)をフルセットで破ったが、試合中に観客席から繰り返し咳が聞こえたことに苛立ち、喉を指さすジェスチャーと共に暴言を吐いたとされる。
イタリア語で「3秒ごとに咳をしている輩がいる」と発言した他、中国メディア『澎湃新聞』は「クソ中国人」との言葉もあったと報じ、情報は海外メディアを通じて拡散した。SNSには「人種差別的だ」「中国人ファンを侮辱した」との批判が殺到。国営紙『環球時報』も「中国国内外のSNSで論争を引き起こした」と伝えていた。
炎上を受け、ムゼッティは27日に自身のインスタグラムで謝罪文を掲載した。
「私の発言は、試合中に繰り返し咳をしてプレーを妨害しようとしていた少数の個人に向けられたもので、決して中国の人々に対するものではありませんでした。第2セットのタイブレークという、緊張やストレスが押し寄せてきたところでの出来事でしたが、それを言い訳にはできません。自分の表現の仕方が間違っており、不適切でした。多くの中国のファンを傷つけてしまったことを深く後悔しています」
さらに「私は中国の人々を常に尊敬しており、この国でプレーできることを本当にありがたく思っています。2018年以来、中国に来るたびに温かく迎えていただきました。心から謝りたい」と続け、ファンの理解を求めていた。
そんな謝罪の直後に迎えた準々決勝での途中棄権。タイミングの悪さもあり、会場に詰め掛けた観客の心情を和らげるには至らなかった。ネットに歩み寄って棄権を申し出、ティエンと握手を交わしたムゼッティを労わる拍手や声はなく、ただ冷たいブーイングが響くだけだった。
実は中国では、先日もテニス選手の発言がトラブルを発生させたばかりだ。アメリカのテイラー・タウンゼントが深センで提供された料理を揶揄する動画を投稿し、批判を浴びて謝罪に追い込まれている。
世界を転戦するテニス選手には、開催国の文化を理解し、言動に一層の注意を払うことが求められている。23歳のムゼッティにとっても、それを痛感させられる苦い経験となった。
構成●スマッシュ編集部
【動画】棄権を告げ、ティエンと握手するムゼッティに容赦ないブーイングが…
【関連記事】また中国で侮辱騒動!? 観客の咳に苛立ったムゼッティの言動が「差別的」と炎上。本人は「不適切でした」と謝罪<SMASH>
【関連記事】人種差別の被害者から加害者に!? 中国珍味を「クレイジーな料理」と酷評して大炎上したタウンゼント、即座に謝罪<SMASH>
対戦相手はアメリカの新鋭ラーナー・ティエン(52位)。ムゼッティは第1セットを6-4で先取するも、第2セット以降に左太腿の違和感を訴え、第2セットを3-6で落とす。第3セットも0-3とリードを許したところで、棄権を申し入れた。
試合後には「非常に危険な相手に対して素晴らしい第1セットを戦えていた。残念だが大きなケガではないと思うし、上海までに回復できることを願っている」と語ったが、退場時の観客の反応は冷淡だった。
異例の敵意の背景には、大会序盤の振る舞いがある。ムゼッティは1回戦でジオバンニ・ペチ・ペリカール(フランス/36位)をフルセットで破ったが、試合中に観客席から繰り返し咳が聞こえたことに苛立ち、喉を指さすジェスチャーと共に暴言を吐いたとされる。
イタリア語で「3秒ごとに咳をしている輩がいる」と発言した他、中国メディア『澎湃新聞』は「クソ中国人」との言葉もあったと報じ、情報は海外メディアを通じて拡散した。SNSには「人種差別的だ」「中国人ファンを侮辱した」との批判が殺到。国営紙『環球時報』も「中国国内外のSNSで論争を引き起こした」と伝えていた。
炎上を受け、ムゼッティは27日に自身のインスタグラムで謝罪文を掲載した。
「私の発言は、試合中に繰り返し咳をしてプレーを妨害しようとしていた少数の個人に向けられたもので、決して中国の人々に対するものではありませんでした。第2セットのタイブレークという、緊張やストレスが押し寄せてきたところでの出来事でしたが、それを言い訳にはできません。自分の表現の仕方が間違っており、不適切でした。多くの中国のファンを傷つけてしまったことを深く後悔しています」
さらに「私は中国の人々を常に尊敬しており、この国でプレーできることを本当にありがたく思っています。2018年以来、中国に来るたびに温かく迎えていただきました。心から謝りたい」と続け、ファンの理解を求めていた。
そんな謝罪の直後に迎えた準々決勝での途中棄権。タイミングの悪さもあり、会場に詰め掛けた観客の心情を和らげるには至らなかった。ネットに歩み寄って棄権を申し出、ティエンと握手を交わしたムゼッティを労わる拍手や声はなく、ただ冷たいブーイングが響くだけだった。
実は中国では、先日もテニス選手の発言がトラブルを発生させたばかりだ。アメリカのテイラー・タウンゼントが深センで提供された料理を揶揄する動画を投稿し、批判を浴びて謝罪に追い込まれている。
世界を転戦するテニス選手には、開催国の文化を理解し、言動に一層の注意を払うことが求められている。23歳のムゼッティにとっても、それを痛感させられる苦い経験となった。
構成●スマッシュ編集部
【動画】棄権を告げ、ティエンと握手するムゼッティに容赦ないブーイングが…
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