新型コロナウイルスの爆発的感染拡大――それは、テニス界にも前例のない“静寂”をもたらした。約半年に及ぶツアー停止。誰もが未来や希望を失いかけていたその時、ある若者にとっては“運命を変えるきっかけ”となった。そう語るのは、これまでにチャレンジャー(下部大会)で3勝を挙げ、今年7月にキャリア初のトップ30入りを達成した男子テニス界期待の21歳、アレックス・ミケルセン(アメリカ/現36位)だ。
プロ転向前だった2023年7月の「ホール・オブ・フェイム・オープン」(アメリカ・ニューポート/芝コート/ATP250)で初のツアー決勝へ進出し、翌24年も同大会と「ウィンストン・セーラム・オープン」(アメリカ・ウィンストン・セーラム/ハード/ATP250)の2大会で準優勝を果たしたミケルセン。
しかし今季はここまで安定感を欠き、4月に出場した下部大会「ミレニアム・エストリル・オープン」(ポルトガル・エストリル/クレーコート/CH175)で優勝した以外は目立った結果を残せていない。
それでも今はまだ“テニス界の有望株“という肩書きを脱ぎ捨て、誰もが恐れる“脅威的存在”へと成長するための決定的な一歩を踏み出したばかり。そもそも少し前までは「ごく普通の選手」で、学生時代もテニスが「そこそこうまいレベルでしかなかった」ことを考えれば、今の地位にいること自体がある意味奇跡だと21歳は言う。そして、そのきっかけを与えてくれたものこそが、コロナ禍での長期にわたる自粛生活だった。
ミケルセンは先日出演したテニス系ポッドキャスト『Nothing Major Show」で次のように語った。
「もしコロナ禍がなければ、今のような状況にはなっていなかったと思う。自宅でたくさん勉強できたこともあって、毎日5時間テニスを練習できた。『コロナが僕のテニス人生を救ってくれた』と言ってもいいくらいだ」
そこから次第に大会に出るようになり、「まだ世界500位くらいだった時期にチャレンジャーの決勝に進出した」ことで確固たる自信をつかめたそうだ。「両親は勉学に励むことを望んでいた」ため、「成功するための時間は限られていた」が、シカゴのチャレンジャーで優勝し、ニューポートで元8位の同胞ジョン・イズナー(23年末に引退)を破って決勝に進んだことが自分にさらなる希望を与えてくれたと過去を振り返った。
ミケルセンにとって、あのコロナ禍は自身のキャリアを切り開く重要な“転機”となった。苦境をポジティブに捉えられるそのメンタリティこそが、今の活躍の秘訣なのかもしれない。
文●中村光佑
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しかし今季はここまで安定感を欠き、4月に出場した下部大会「ミレニアム・エストリル・オープン」(ポルトガル・エストリル/クレーコート/CH175)で優勝した以外は目立った結果を残せていない。
それでも今はまだ“テニス界の有望株“という肩書きを脱ぎ捨て、誰もが恐れる“脅威的存在”へと成長するための決定的な一歩を踏み出したばかり。そもそも少し前までは「ごく普通の選手」で、学生時代もテニスが「そこそこうまいレベルでしかなかった」ことを考えれば、今の地位にいること自体がある意味奇跡だと21歳は言う。そして、そのきっかけを与えてくれたものこそが、コロナ禍での長期にわたる自粛生活だった。
ミケルセンは先日出演したテニス系ポッドキャスト『Nothing Major Show」で次のように語った。
「もしコロナ禍がなければ、今のような状況にはなっていなかったと思う。自宅でたくさん勉強できたこともあって、毎日5時間テニスを練習できた。『コロナが僕のテニス人生を救ってくれた』と言ってもいいくらいだ」
そこから次第に大会に出るようになり、「まだ世界500位くらいだった時期にチャレンジャーの決勝に進出した」ことで確固たる自信をつかめたそうだ。「両親は勉学に励むことを望んでいた」ため、「成功するための時間は限られていた」が、シカゴのチャレンジャーで優勝し、ニューポートで元8位の同胞ジョン・イズナー(23年末に引退)を破って決勝に進んだことが自分にさらなる希望を与えてくれたと過去を振り返った。
ミケルセンにとって、あのコロナ禍は自身のキャリアを切り開く重要な“転機”となった。苦境をポジティブに捉えられるそのメンタリティこそが、今の活躍の秘訣なのかもしれない。
文●中村光佑
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