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海外テニス

内田海智、憧れの錦織圭に付け入る隙を与えず! ストレート勝利の金星でベスト4進出<SMASH>

内田暁

2025.11.22

対戦前には「錦織攻略法」をあれこれ考えたという内田(右)だったが答えは見つからず、自身のテニスを貫くことで大きな勝利を手にした。写真=滝川敏之

対戦前には「錦織攻略法」をあれこれ考えたという内田(右)だったが答えは見つからず、自身のテニスを貫くことで大きな勝利を手にした。写真=滝川敏之

 身体を後ろに反らせ、やや窮屈な姿勢で放ったフォアのリターンは、次の瞬間には相手コートのコーナ―に刺さった。

 錦織圭は、打球の行方を見届けると、淡々とネット際へと歩みを進める。一瞬遅れて内田海智は、両手を大きく天に広げて、驚嘆と祝福の声援に応じた。

 男子テニスの下部ツアー「横浜慶應チャレンジャー」の、準々決勝。内田が錦織を6-2、 6-2で破り、ベスト4への扉を開いた。

 内田にとって錦織は、10代の日から、常に背を追ってきた存在だ。18歳でプロ転向し、IMGアカデミーを拠点とすべく渡米した翌日には、錦織に誘われ夕食を共にした。5歳年長の錦織は、当時すでに世界のトップ20。それでもIMGアカデミーにいればボールを打ち合った、遠くて近い存在だ。

 だからこそ、今大会の錦織が万全でないことは、内田の目には明らかだった。ただ、だからといって錦織の偉大さが、彼の中で薄れる訳ではない。錦織との対戦が決まったその瞬間から、内田は「戦略を考えた」という。
 
「1日、どうやったら勝てるのかなと、考えに考えた結果……」

 言葉を区切り、そして、続ける。

「何も出なかったんですよ」

 気恥ずかしそうに、浮かべる笑み。

「やっぱ穴がなさすぎるんで、なんかもう、考えてどうにかできる相手じゃない。僕も最近調子が良いし、サービスも良くなっているので、自分のテニスを貫き通す。その中で錦織選手と対戦することで、自分のプレーの質を上げるしかないなと思った」

 先週の「ノアチャレンジャー」でもベスト4に勝ち進んだ内田の、好調を支えているのは改善したサービス。サービスゲームを確実にキープし、少ないであろうブレークのチャンスを生かすことを考えて、内田は錦織との初対戦のコートに向かった。

 ただいざボールを打ち合うと、予想を上回る展開の早さに、「サービスでしかポイントを取れない」と感じたという。それでも立ち上がりから自身のサービスは、3ゲーム連続でキープする。特にゲームカウント2-2からのサービスゲームでは、3度のブレークの危機を凌ぐ。ゲームポイントで決めたのは、目の覚めるサービスエースだった。

 対する錦織は、過去数試合に比べ、「やる気が出た」状態で試合に入っていたという。ここ数カ月の内田が、良いプレーをしていたことは重々承知。

「いい試合をしたい」

 試合前に抱いたその思いは、自然と錦織のプレーを引き上げただろう。
 
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