昨年11月、"クレーキング"の異名を持つラファエル・ナダル氏（スペイン／現39歳）は、母国で開催された男子国別対抗戦「デビスカップ（デ杯）・ファイナル８」（スペイン・マラガ／室内ハードコート）でキャリア最後の試合を戦った。四大大会22勝を含む計92のツアータイトル、さらには通算209週にわたる世界ランキング１位在位など数々の輝かしい功績を残し、惜しまれながらも約23年もの選手生活を終えたのだった。

　それからちょうど１年にあたる現地11月19日、スペインテニス界の伝説的巨星が再びラケットを手に取り、自身が運営する「ラファエル・ナダル・アカデミー」で引退後初めてコートに復帰したと、ATP（男子プロテニス協会）公式サイトが報じている。同アカデミーの卒業生である女子テニス世界50位のアレクサンダー・イーラ（フィリピン／20歳）とヒッティング練習を行なったとのことだ。

　イーラは今年３月の「マイアミ・オープン」（アメリカ／ハード）で元女王のイガ・シフィオンテク（ポーランド／現２位）を破るなどの快進撃で四大大会に次ぐWTA1000初のベスト４進出を果たし、６月の「レクサス・イーストボーン・オープン」（イギリス／芝コート／WTA250）で初のツアー決勝に進出。今月初めには世界ランキングでもフィリピン人選手として初のトップ50入りを達成し、現在も50位につけている期待のニューヒロインだ。
  　ナダル氏は同19日に更新した公式インスタグラム（@rafaelnadal）で練習時の映像を添え、「１年ぶりのコートは最高の気分だった。イーラ、一緒に練習できて本当に良かった。また次はもっと強くなって戻ってくるよ」とコメント。これに対してイーラは「今日はありがとう、ラファ」と感謝のリプライを送っている。

　ちなみにナダル氏は現在もアカデミー運営に深く携わっており、今季開幕時に143位だったランキングを一気に上げたイーラをはじめ、若手選手の成長を熱心に見守っている。今回のコート復帰は、アカデミー生との強い結びつきを示すと同時に、ナダル氏が現役時代から貫いてきた飽くなき向上心や探求心を次世代へ受け継ごうとする姿勢を象徴する出来事となった。

文●中村光佑

【動画】ナダルがアカデミーでイーラとヒッティング練習！

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