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海外テニス

世界140位の無名の新星イーラ、元女王シフィオンテクも撃破!「信じられない気持ちだし、夢のよう」<SMASH>

中村光佑

2025.03.27

ナダルのアカデミー出身の19歳イーラは、卒業式のゲストで一緒に写真を撮ったこともある憧れのシフィオンテクを破り、マイアミOP4強入り!(C)Getty Images

ナダルのアカデミー出身の19歳イーラは、卒業式のゲストで一緒に写真を撮ったこともある憧れのシフィオンテクを破り、マイアミOP4強入り!(C)Getty Images

 現在行なわれている女子テニスツアーのWTA1000シリーズ「マイアミ・オープン」(3月18日~30日/アメリカ・マイアミ/ハードコート)で快進撃を見せ、話題の的となっている19歳の新星アレクサンダー・イーラ(フィリピン)。現地26日の準々決勝では四大大会5勝を誇る元世界1位のイガ・シフィオンテク(ポーランド/現2位)を6-2、7-5で破る番狂わせを演じ、フィリピン人女子選手として史上初のツアー4強入りを果たした。

 2020年にプロ転向し、現在140位につけているイーラは今大会に本戦ワイルドカード(主催者推薦)で参戦。1回戦でケイティ・ボリネッツ(アメリカ/73位)、2回戦で17年全仏オープンを制した元世界5位のエレナ・オスタペンコ(ラトビア/現25位)を破ると、3回戦では今年1月の全豪オープンで四大大会初優勝を飾った第5シードのマディソン・キーズ(アメリカ/5位)を撃破。4回戦は対戦予定だったパウラ・バドサ(スペイン/11位)が試合前に棄権し、8強入りを果たしていた。

 その勢いはシフィオンテクとの準々決勝でも衰えることはなかった。5度のブレークを奪って第1セットを先取すると、第2セットは一時2-4とリードを許しながらも粘りのプレーで4度サービスブレークして逆転。1時間39分で金星を挙げ、フィリピンテニス界の歴史に名を刻んだ。

 実はイーラは元世界王者のラファエル・ナダル氏(スペイン)が運営する「ラファ・ナダル・アカデミー」の卒業生で、2年前の卒業式ではナダル氏並びにゲストで参列したシフィオンテクと共に3ショット写真を撮影していた。試合後のオンコートインタビューで「今は信じられない気持ちだし、夢のよう」と喜びをあらわにした19歳はその写真に触れながらこう続けた。
 
「すごく不思議な気持ち。私自身はあの写真の頃とは全く変わっていないと思うけど、状況は変わったと思う。この舞台で、あんな素晴らしい選手と戦えたのは本当に幸せなこと。コーチからは『走り続けろ』『1球1球全力で打て』『チャンスは全て生かせ』と言われていた。5度の四大大会優勝を誇る選手が、決して勝利を簡単に与えてくれるとは思わないから」

 一方敗れたシフィオンテクは試合後の会見でイーラの質の高いプレーに驚かされたとしつつ、敗因をこう語っている。

「彼女があんなにフラットな球を打ってくるとは思わなかった。とても攻撃的で、試合を通して自分の信念をしっかり持っていたように思えたし、彼女のショットの多くはまるで何もない所から突然飛んでくるようだった。

 一方で彼女が前に出て私にプレッシャーをかけようとしているのもはっきりとわかった。それが彼女にとってすごくうまくいったのかなと思う。私は彼女のプレーについていけなかった。リターンがとても良く、私は次のボールに対する準備ができていなかった。クロスへのショットも含め、ミスをたくさんしてしまった」

 まだ23歳にしてツアー22勝を誇るシフィオンテクも舌を巻くほど、イーラの実力は本物だということだろう。四大大会に次ぐグレードの今大会でイーラのツアー初優勝が実現する可能性も十分だ。

文●中村光佑

【動画】イーラがシフィオンテクを破ったマイアミ・オープン準々決勝のハイライト

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