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海外テニス

フィリピンテニス界期待の19歳イーラを悩ます「柔軟に渡航すること」を制限されるパスポート<SMASH>

スマッシュ編集部

2025.04.18

3月のマイアミ・オープン(写真)では堂々の4強入りを果たしたイーラだが、フィリピン国籍であることから世界のツアーを転戦する際には面倒な手続きが必要になる。(C)Getty Images

3月のマイアミ・オープン(写真)では堂々の4強入りを果たしたイーラだが、フィリピン国籍であることから世界のツアーを転戦する際には面倒な手続きが必要になる。(C)Getty Images

 先月開催された女子テニスツアー「マイアミ・オープン」で大ブレークしたフィリピンの新星、アレクサンダー・イーラ(世界ランキング72位)。エレナ・オスタペンコ(ラトビア/同25位)、マディソン・キーズ(アメリカ/同5位)、そしてイガ・シフィオンテク(ポーランド/同2位)と3人の四大大会覇者を連破し、ツアー大会でフィリピン女子選手初のベスト4入りを達成した。

 そんな19歳が、母国のスポンサー企業主催によるオンライン会見で、ツアー生活のもどかしい舞台裏を明かしている。

「難しいのは、柔軟に渡航することです。テニス選手として、スケジュールには非常に柔軟でなければなりません。けれどもギリギリの選択をすることも多く、ビザを準備するために毎回毎回、全てを準備する時間はありません」

 世界の国々を転々とするのがプロテニス選手の宿命だが、彼女が持つフィリピンのパスポートでは行きたい国にすぐ行けるとは限らないのである。

『ヘンリー・パスポート・インデックス(2025年版)』によると、フィリピンのパスポートでビザなし渡航が可能な国は65カ国(世界75位タイ)のみで、アメリカやイギリス、中国など多くの国で事前のビザ申請が必要だ。190カ国(世界2位タイ)に行ける日本はもちろん、概ね180カ国以上に行ける欧米の選手と比べ、自由な移動は大きく制限される。
 
 ちなみにゴルフの全米女子オープンを2021年に制したフィリピン生まれの笹生優花は、20歳の時に日本国籍を選択。テニスと同じくツアー生活を送る彼女が、日本のパスポートを選ぶのはごく自然な判断だったと言えるだろう。

 名手ラファエル・ナダルが主宰する『ラファ・ナダル・アカデミー』を拠点にグローバルな活躍を目指すイーラは、制限の多いパスポートに悩まされる一方で、フィリピン人であることに大きなメリットも感じているという。

「もちろん、フィリピンの方々の支えです。あんなコミュニティは他にどこにもありません。先月、寄せられた愛と支えが、まさにそれを証明しています」

 海外に住むフィリピン人は多く、アメリカには約450万人のフィリピン系住民がいるとされる。実際、マイアミのコートサイドにも多くのファンが集まっていた。国民の期待を背負い、またフィリピン人としての誇りを胸に世界で戦うイーラ。現在、ポルトガルで開催中の「オエイラス女子オープン」(WTA125)を経て、いよいよ「全仏オープン」で四大大会本戦デビューを果たすことになる。ただし、彼女の場合はフランスへの入国にもビザが必要となる。

構成●スマッシュ編集部

【動画】19歳のイーラが世界2位シフィオンテクを破った「マイアミ・オープン準々決勝」ハイライト

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