5月25日に開幕を控えるテニス四大大会「全仏オープン」の賞金配分を巡り、トップ選手たちから不満が噴出している。
5月3日、ヤニック・シナー(イタリア)、カルロス・アルカラス(スペイン)、アリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)、イガ・シフィオンテク(ポーランド)ら男女のトップ選手20名が、2026年大会の賞金額に対する深い失望を表明する共同声明を発表した。ATP(男子テニス協会)とWTA(女子テニス協会)の枠を超えた連携で、署名メンバー以外にも問題意識を共有する有力選手が数多くいるとみられる。
発端は、4月17日に発表された賞金総額だ。大会側は前年比9.5%増と強調したが、選手たちが問題視しているのは金額ではなく、収益に対する分配率である。大会収益は2025年に前年比14%増の3億9500万ユーロ(約722億8500万円)を記録し、26年も4億ユーロ(約732億円)超が見込まれている。一方で、賞金の増加は25年時点で5.4%にとどまり、収益の伸びに追いついていない。その結果、分配率は低下する構図となっている。
声明でも、この点は数値を挙げて指摘された。
「ローランギャロスの大会収益に対する選手たちの分配率は、2024年の15.5%から2026年には14.9%に低下すると予測されています」
「ローランギャロスが記録的な収益を計上しようとしている中で、結果として選手たちは、自分たちが生み出す価値に対する取り分が縮小している状況に置かれています」
選手側が求めているのは、ATP&WTA1000大会と同水準の「収益の22%」だ。しかし現状、四大大会(グランドスラム)では13~15%前後にとどまり、そのギャップが不満の核心となっている。
加えて、プロセス面での不信感が広がっている。今回の発表に際し、選手への事前説明や協議は行なわれなかったとされる。専門メディア『テニス・メジャーズ』に対し、選手に近い関係者は次のように語っている。
「彼らはただプレスリリースを出しただけだ」
「選手たちはそのことについてかなり腹を立てていた」
問題は賞金配分にとどまらない。年金や傷害保険、産休といった福利厚生への関与に加え、意思決定に選手の声が反映されない構造も課題とされている。声明はガバナンスの在り方にも踏み込み、次のように批判した。
「他の主要な国際スポーツがガバナンスを近代化し、利害関係者を連携させ、長期的な価値を構築している一方で、グランドスラムは依然として変化に抵抗しています。選手との協議の不在と、選手の福利厚生への継続的な投資不足は、スポーツの成功の中心にいる人々の利益を適切に代表していないシステムを反映しています」
全米(20%増)や全豪(16%増)が改善を見せたのに対し、全仏の対応は選手側から「後退」と受け止められている。収益分配の是正を求める非公式の選手連合(「Project RedEye」または「Fair Share」)は、「イタリア国際」(ATP1000/WTA1000)で発言に踏み切る可能性もある。
さらに、開幕前にはパリで再び会合が開かれる見通しだが、大会側が協議に応じるかは不透明だ。関係者が「選手たちは不満を募らせている」「あらゆる選択肢を検討している」と語るように、対立は収束どころか、むしろ次の局面へ向かいつつある。
構成●スマッシュ編集部
【画像】2025全仏オープンを戦う男子トップ選手たちの厳選フォト
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5月3日、ヤニック・シナー(イタリア)、カルロス・アルカラス(スペイン)、アリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)、イガ・シフィオンテク(ポーランド)ら男女のトップ選手20名が、2026年大会の賞金額に対する深い失望を表明する共同声明を発表した。ATP(男子テニス協会)とWTA(女子テニス協会)の枠を超えた連携で、署名メンバー以外にも問題意識を共有する有力選手が数多くいるとみられる。
発端は、4月17日に発表された賞金総額だ。大会側は前年比9.5%増と強調したが、選手たちが問題視しているのは金額ではなく、収益に対する分配率である。大会収益は2025年に前年比14%増の3億9500万ユーロ(約722億8500万円)を記録し、26年も4億ユーロ(約732億円)超が見込まれている。一方で、賞金の増加は25年時点で5.4%にとどまり、収益の伸びに追いついていない。その結果、分配率は低下する構図となっている。
声明でも、この点は数値を挙げて指摘された。
「ローランギャロスの大会収益に対する選手たちの分配率は、2024年の15.5%から2026年には14.9%に低下すると予測されています」
「ローランギャロスが記録的な収益を計上しようとしている中で、結果として選手たちは、自分たちが生み出す価値に対する取り分が縮小している状況に置かれています」
選手側が求めているのは、ATP&WTA1000大会と同水準の「収益の22%」だ。しかし現状、四大大会(グランドスラム)では13~15%前後にとどまり、そのギャップが不満の核心となっている。
加えて、プロセス面での不信感が広がっている。今回の発表に際し、選手への事前説明や協議は行なわれなかったとされる。専門メディア『テニス・メジャーズ』に対し、選手に近い関係者は次のように語っている。
「彼らはただプレスリリースを出しただけだ」
「選手たちはそのことについてかなり腹を立てていた」
問題は賞金配分にとどまらない。年金や傷害保険、産休といった福利厚生への関与に加え、意思決定に選手の声が反映されない構造も課題とされている。声明はガバナンスの在り方にも踏み込み、次のように批判した。
「他の主要な国際スポーツがガバナンスを近代化し、利害関係者を連携させ、長期的な価値を構築している一方で、グランドスラムは依然として変化に抵抗しています。選手との協議の不在と、選手の福利厚生への継続的な投資不足は、スポーツの成功の中心にいる人々の利益を適切に代表していないシステムを反映しています」
全米(20%増)や全豪(16%増)が改善を見せたのに対し、全仏の対応は選手側から「後退」と受け止められている。収益分配の是正を求める非公式の選手連合(「Project RedEye」または「Fair Share」)は、「イタリア国際」(ATP1000/WTA1000)で発言に踏み切る可能性もある。
さらに、開幕前にはパリで再び会合が開かれる見通しだが、大会側が協議に応じるかは不透明だ。関係者が「選手たちは不満を募らせている」「あらゆる選択肢を検討している」と語るように、対立は収束どころか、むしろ次の局面へ向かいつつある。
構成●スマッシュ編集部
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