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海外テニス

「なぜ、ネガティブな報道ばかりなんだ…」理不尽な地元メディアの扱いにワウリンカが反撃!【男子テニス】

レネ・シュタウファー

2020.03.16

悪意すら感じるスイスメディアによる一連の記事に、ワウリンカ本人のイライラは募るばかりだ。(C)GettyImages

悪意すら感じるスイスメディアによる一連の記事に、ワウリンカ本人のイライラは募るばかりだ。(C)GettyImages

 クイズを出します。「直近のグランドスラム(四大大会)で、ロジャー・フェデラー、ノバク・ジョコビッチ、ラファエル・ナダルの3人以外で優勝した選手は誰でしょうか?」。

 ヒントを1つ。「その選手はこれまでグランドスラムに3度優勝し、今も現役を続けています。また2019年の全米オープンでは、ジョコビッチを破りました――」

 アンディ・マリーと答えた方は不正解。正しくはスタン・ワウリンカである。

 ここ数年の戦績を辿ると、2014年全豪、2015年全仏、2016年全米といった具合に、ワウリンカは着実に実力を伸ばしている。ところが左ヒザにケガを負ってしまい、2017年夏に難しい手術を受けなければならなくなった。

 これはかなり複雑な症例で、担当した外科医が「もう一度、トッププレーヤーとしてやっていけるかどうか、保証することはできない」と伝えたほど手術の難易度が高かった。

 しかし幸いにもオペは成功、ワウリンカは再びコートに戻ってきた。

 ワウリンカにとって2019年はとても良い結果に終わったと言える。負傷離脱のため前年は世界ランキングを263位まで落としていたが、必死の頑張りによってトップ10を狙えるまでに上昇。16位でシーズンを終えたのだ。

 19年10月に行なわれたスイス・インドアの大会期間中、私の記者仲間の1人が「全盛期のような強さに戻るのに、まだ足りてない部分はなに?」と質問を投げた。するとワウリンカは堰を切ったように喋り出し、それは数分間にわたる“独演会”となった。

 彼はその中で自らの業績を語る一方で、地元スイスメディアへの不満を爆発させた。聞かされる側の我々はしばらくの間、どこで反論すべきか糸口さえ見つからないほどの勢いだった。
 
「俺は現在世界ランク17位。かんばり次第では『ATPファイナル』にも出場できるかもしれないポジションにある。それなのに『全盛時を取り戻すのに足りないものは?』と聞いてくる。この数年間、ビッグ4以外でグランドスラム(世界四大大会)を制している唯一の選手。その事実を忘れてないだろうね? おまけに大怪我を克服して、ここまで挽回してきたんだ。

 今季のロッテルダムとアントワープの大会では決勝戦に進んだ。全仏では(ステファノス・)チチパスに、全米ではジョコビッチも破っている。トップ10に名を連ねる好調な選手に勝ったんだから、総括してみれば良いシーズンだった。自分的には十分に自信も取り戻せたと思っているんだけどね――。

 もちろん、2019年シーズンはグランドスラムで優勝することはできなかった。だけどその優勝者に勝っている。わかるかな、この意味。今の自分は来シーズンに向けて、スペシャルなポジションにいるってことじゃないの」
 
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