そして、ここから地元スイス・マスコミへの批判を開始した。
「とにかくスイスのマスコミは、いつもネガティブな報道ばかりしている。俺が何かをやるたびに、あるいはパーティに参加しただけでも否定的な論調になる。私生活のことも、コート上のケガのことも陰気に報道される。マスコミには悪意さえ感じるよ。
いいかい、世界ランク17位って記者さんたちが考えている以上に大変なことなんだ。数年後のスイス・テニス界を想像してみてほしい。グランドスラムを取れるようなスイス人選手はすごく少なくなると思う。とくに男子はね。そうなって初めてマスコミは『世界17位ってそんなに悪くないかも』と気づくわけさ」
ワウリンカがこれほど強くスイスのマスコミを批判する原因がどこにあるのか、私なりに少し立ち止まって考えてみたところ、思い当たる1つの記事が脳裏をかすめた。なるほど、ああやって書かれたならば、彼ならずとも激怒するに違いないと納得したのである。
それはモンテカルロで開催されたパーティーでのことである。リラックスしてシャンパンを飲むワウリンカが、薄手の服を身にまとった女性らと談笑している。それはどこにでもある光景だ。ましてやリゾート地でのパーティである。そんなありふれたシーンの一部分だけを切り取ったスイスの新聞社が、ワウリンカの素行の悪さを印象付けるようにしながら悪意のある記事に仕立て上げたのだから、彼が苛立つのも無理はないだろう。
2020年春には35歳を迎えるワウリンカ。今後は現役をいつまで続けられるか、時間との闘いにもなるだろう。地元メディアから発せられる雑音を断ち切る意味でも、彼の真価が問われる1年となるのは間違いない。
文●レネ・シュタウファー
ITWA(国際テニスライターズ連盟)正会員で、経験豊富なスイス人ジャーナリスト。ヨーロッパを中心に第一線で活躍しており、フェデラーやヒンギスとも親交が厚い。2018年に発刊されたフェデラーをテーマにした著書は、スイスでベストセラーとなっている。
構成・翻訳●安藤正純
※『スマッシュ』2020年2月号より修正して転載
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「とにかくスイスのマスコミは、いつもネガティブな報道ばかりしている。俺が何かをやるたびに、あるいはパーティに参加しただけでも否定的な論調になる。私生活のことも、コート上のケガのことも陰気に報道される。マスコミには悪意さえ感じるよ。
いいかい、世界ランク17位って記者さんたちが考えている以上に大変なことなんだ。数年後のスイス・テニス界を想像してみてほしい。グランドスラムを取れるようなスイス人選手はすごく少なくなると思う。とくに男子はね。そうなって初めてマスコミは『世界17位ってそんなに悪くないかも』と気づくわけさ」
ワウリンカがこれほど強くスイスのマスコミを批判する原因がどこにあるのか、私なりに少し立ち止まって考えてみたところ、思い当たる1つの記事が脳裏をかすめた。なるほど、ああやって書かれたならば、彼ならずとも激怒するに違いないと納得したのである。
それはモンテカルロで開催されたパーティーでのことである。リラックスしてシャンパンを飲むワウリンカが、薄手の服を身にまとった女性らと談笑している。それはどこにでもある光景だ。ましてやリゾート地でのパーティである。そんなありふれたシーンの一部分だけを切り取ったスイスの新聞社が、ワウリンカの素行の悪さを印象付けるようにしながら悪意のある記事に仕立て上げたのだから、彼が苛立つのも無理はないだろう。
2020年春には35歳を迎えるワウリンカ。今後は現役をいつまで続けられるか、時間との闘いにもなるだろう。地元メディアから発せられる雑音を断ち切る意味でも、彼の真価が問われる1年となるのは間違いない。
文●レネ・シュタウファー
ITWA(国際テニスライターズ連盟)正会員で、経験豊富なスイス人ジャーナリスト。ヨーロッパを中心に第一線で活躍しており、フェデラーやヒンギスとも親交が厚い。2018年に発刊されたフェデラーをテーマにした著書は、スイスでベストセラーとなっている。
構成・翻訳●安藤正純
※『スマッシュ』2020年2月号より修正して転載
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