ドーナッツが大量に並ぶボックスを覗き込み、「えー、どれにしよう……」とつぶやく口角が、緩やかに上がっていた。
この日は、彼が拠点とする“テニスラボ”のメンバー複数名への、ささやかな合同誕生日。そのお祝いに用意されたドーナッツを目の前にして、彼は先輩たちの目を気にしつつ、「チョコレート、好きなんですよね」と気恥ずかしそうに笑いながら、チョコでコーティングされた一輪を選び取った。
プロ3年目を迎える20歳。最高位は、今年3月上旬に達した313位。
コーチである父の手ほどきでラケットを握った清水悠太は、幼少期から食事にも自然と気を配る環境下で育ってきたという。
「父はそこまで食事については言わなかったんですが、母親は気を使ってくれていたようで、おかずも多かったし、バランスも考えてくれていたと思います。子どもの頃は、苦手なものは多かったです。キノコや貝類とか、茄子とか……。でも、親には『食べなさい』と言われていたので、いやいや食べていました」
渋る子どもに食べさせる術を、親は熟知していたのだろう。
「身体に良いから!」
その一言を耳にすると、悠太少年は「そうかな」と小首をかしげつつも、苦手な食べ物も身体に押し込んだという。
ジャンクフードや、お菓子が家にあまりなかったという清水家では、甘い飲み物が食卓に上がることも無かった。
「家にジュースなどは無かったです。飲み物は、牛乳か水、あとはお茶でした」
小柄なスポーツ少年の例にもれず、清水も子どもの頃から、牛乳はよく飲んでいたという。「でも、伸びなかったですね」と苦笑いする彼の身長は、163センチ。ただその小柄な身体を、彼はハンデやコンプレックスに思う素振りは、まるで見せない。
「身長を自己申告するなら、僕はむしろ小さめに言うと思います。ツアーで一番小柄な方が売りになりますし」
例え上背はなくとも、彼にはそれを補うフットワークと、攻守でコートを広く用いる守備力及び創造性がある。バランスの良い体躯とオールラウンダーなプレースタイルも、食事を含めたバランスの良さを反映したものだろう。
そんな彼が、食べ物に自発的に気を配るようになったのは、プロになった頃だという。
この日は、彼が拠点とする“テニスラボ”のメンバー複数名への、ささやかな合同誕生日。そのお祝いに用意されたドーナッツを目の前にして、彼は先輩たちの目を気にしつつ、「チョコレート、好きなんですよね」と気恥ずかしそうに笑いながら、チョコでコーティングされた一輪を選び取った。
プロ3年目を迎える20歳。最高位は、今年3月上旬に達した313位。
コーチである父の手ほどきでラケットを握った清水悠太は、幼少期から食事にも自然と気を配る環境下で育ってきたという。
「父はそこまで食事については言わなかったんですが、母親は気を使ってくれていたようで、おかずも多かったし、バランスも考えてくれていたと思います。子どもの頃は、苦手なものは多かったです。キノコや貝類とか、茄子とか……。でも、親には『食べなさい』と言われていたので、いやいや食べていました」
渋る子どもに食べさせる術を、親は熟知していたのだろう。
「身体に良いから!」
その一言を耳にすると、悠太少年は「そうかな」と小首をかしげつつも、苦手な食べ物も身体に押し込んだという。
ジャンクフードや、お菓子が家にあまりなかったという清水家では、甘い飲み物が食卓に上がることも無かった。
「家にジュースなどは無かったです。飲み物は、牛乳か水、あとはお茶でした」
小柄なスポーツ少年の例にもれず、清水も子どもの頃から、牛乳はよく飲んでいたという。「でも、伸びなかったですね」と苦笑いする彼の身長は、163センチ。ただその小柄な身体を、彼はハンデやコンプレックスに思う素振りは、まるで見せない。
「身長を自己申告するなら、僕はむしろ小さめに言うと思います。ツアーで一番小柄な方が売りになりますし」
例え上背はなくとも、彼にはそれを補うフットワークと、攻守でコートを広く用いる守備力及び創造性がある。バランスの良い体躯とオールラウンダーなプレースタイルも、食事を含めたバランスの良さを反映したものだろう。
そんな彼が、食べ物に自発的に気を配るようになったのは、プロになった頃だという。