海外テニス

"人生の最重要事項は?"世界3位のティームが、下位ランクの選手への金銭面の支援に難色【男子テニス】

誉田優

2020.04.27

下位ランクの選手について厳しく評価しているティーム。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

 世界ランキング3位のドミニク・ティームが下位プレーヤーへの支援に苦言を呈した。

 新型コロナウイルスの影響により、ツアーが中断し、そのために賞金を得られず、経済的に困窮しているプレーヤーたちが多い。そんな下位ランクのプレーヤーたちに支援の手を差し伸べようと、ビッグ3のひとり、ノバク・ジョコビッチが提案したのはつい先週の話だ。

 この状況は最短でも7月中旬までは続くため、影響を受けて苦しんでいる選手らに経済的支援をしようと仲間の選手らに呼びかけた。

 だが、オーストリアのティームはこれに待ったをかけた。パンデミックによって経済的な危機が訪れている今、仲間のプレーヤーよりも緊急に助けを必要としている人たちはいるはずだと、4月26日のオーストリアのクローネ新聞にコメントを寄せている。

「たとえランキングでは下位にいようとも、飢えて倒れるほどの危機に瀕しているプレーヤーはいない」と、テニス界だけではなく全体的な状況を踏まえて指摘。
 
 下位ランクの選手について、「スポーツを人生の最重要事項であると考えておらず、プロ選手としての態度が感じられない人が多すぎる。そのような選手に金銭的援助をする理由がわからない。むしろ、本当にぎりぎりの状況にいる人たちに届くよう、適切な人や機関に寄付したい」

 3度のグランドスラムのファイナリストを経験している26歳のティームは、以前にもフューチャーズ(下部の大会)に出場する下位ランクの選手たちが、トップの選手たちから学ぼうという姿勢を見せていないと、彼らの態度を批判したことがあった。

 ジョコビッチのテニス界を思う気持ちも、ティームの考えも理解ができるだけに、どちらが正解かと言い切ることは難しい。テニス界がこの危機を乗り越え、より盛り上がるよう、最善の選択を望むばかりだ。

文●誉田優
フリーライター。早稲田大学スポーツ科学部卒業。
Twitter:yu_honda/instagram:yu_honda

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