国内テニス

世界90位の内山靖崇が“料理男子”に豹変。「ほとんどしない」初心者が、驚きの腕前に!【男子テニス】

内田暁

2020.05.03

テニス同様のこだわりで料理を探求する内山靖崇。写真左:内田暁、写真右:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

 その時に内山は、「ほとんどしないですね」と即答した。

 3月上旬、デビスカップを終えてインディアンウェルズ・マスターズ出場のため北米に急行するも、大会がキャンセルとなり帰国したばかりのころ。

「ほとんどしない」というのは料理のこと。一人暮らしとはいえ、遠征に出ている時間が長いために、キッチンに立つことはさほどない。自宅に居ても、食事は「外食かウーバーイーツ」が中心だったという。そんな彼が、今では日本テニス界きっての"料理男子"へと豹変した。

「意外と好評だったので……」

手料理に精を出す訳を、彼はそう説明する。

「家に居る時間が長いというか、ほぼ家にいるので料理も始めてみました。男性であまり料理しない人にも、俺にもできるんじゃないか、俺もやってみようかなと思ってもらえる切っ掛けになろうかなと」
 
 そんなチャレンジ精神に端を発する男料理の、デビュー作はエッグベネディクト。もとより海外に行くと「必ず食べる」ほど好きで、同時に、自分でも作れるのではとの淡い思いも抱いていた好物だ。そこで、この機に実際に作ってみると……「思っていたより、簡単だなって」とさらりと笑う。

「今はネットにレシピもたくさん上がっているし、言われたとおり事を進めれば意外とおいしくできるんだなと」

 かくして出来上がったエッグベネディクトは、完璧なアングルと色合いで撮影され、内山のSNSを鮮やかに彩る。「美味しそう!」「すごい!!」等々の反響は、内山に自信を与えさらなるモチベーションをも生んだ。

「本当に自分で作ってるの?」

 そんな疑念への対抗心と自己証明への欲求も、彼をキッチンへと向かわせた要因だ。

 自分で料理をすることで、改めて気を付けているのは栄養バランスだという。炭水化物にタンパク質、乳製品に野菜やフルーツ…だが内山は幼少期から野菜が苦手で、食べるように言われても「嫌いすぎて食べられなかった。特にトマトとピーマンは無理」というほどだった。

 成長し、特にプロになってからは野菜もかなり克服したが、それでもピーマンやほうれん草は今も苦手。栄養士に食事をチェックしてもらう時も、やはり「野菜が少ない」と指摘されることが多いという。