海外テニス

豪華メンバーが揃ったジョコビッチ主催大会や特別ルール満載のツアーなどコートに歓声が戻ってきた!【海外テニス】

内田暁

2020.06.13

ジョコビッチ(右端)提案の『アドリア・ツアー』では、久しぶりにトップ選手によるプレーがファンに披露された。(C)GettyImages

 停止していた世界のテニスが、一斉に動き出す――。

 それも、従来の「ツアー」という一元化された形ではなく、世界各地で同時多発的に、そして選手や関係者たちによって自発的に、時は満ちたといわんばかりに数々の大会が発足したのだ。

 先鞭を付けたのは、アメリカだっただろうか。国内でもまだ多くの地域で、移動や外出規制が敷かれていた5月中旬。アメリカ最大のテニス放送局「Tennis Channel」が主催となり、「ローカル」を謳った男女プロ選手による対抗戦が、フロリダ州ウェストパームビーチで開催されたのだ。会場は、個人邸のバックヤードに設置されたテニスコート。試合の模様はTennis Channelによって放送された。

 参戦選手はフロリダ在住者に限られたが、そこは北米テニスの中心地である。男子はフベルト・フルカチやミオミル・ケツマノビッチ、女子もアマンダ・アニシモワやダニエル・コリンズら売出し中の若手が参戦。無観客のイベントではあったが、その実施と成功は多くの関係者たちに、一つのロールモデルを示しただろう。なおこのイベントのスポンサーには、ノバク・ジョコビッチファンデーションも名を連ねていた。
 
 ジョコビッチが、バルカン半島を舞台とする『アドリア・ツアー』の開催を発表したのは、このフロリダのイベントが終盤に差し掛かった頃である。

「ようやく発表にこぎつけたことを、誇りに思う」とソーシャルメディアに記したジョコビッチは、イベントは6月13日のセルビアの首都ベオグラードを皮切りに、クロアチアやモンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナなど複数の国と都市で開催されることを公表。7月5日にサラエボで閉幕する予定であり、試合には観客を入れる意向も示した。

 またこの時点で、ドミニク・ティームとグリゴール・ディミトロフの参戦が公表。後にはアレクサンダー・ズベレフも参加を表明し、豪華メンバーが集結した。

 かくして行なわれた12日のオープニングセレモニーでは、ファンも集うなか人気ミュージシャンによるライブや、エレナ・ヤンコビッチやネナド・ジモニッチらかつてのスタープレーヤー参加のエキジビションマッチも開催。華やいだ雰囲気の中で、アドリア・ツアーは幕を開けた。
 
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