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【テニスギア講座】いろいろあるテニスボール。同じ“プレッシャー系”でも価格差があるのはなぜ?

松尾高司

2020.06.17

プレッシャーライズドボールにも種類がある。試合やグループレッスンなど、シチュエーションに応じて使い分けるといい。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)他

プレッシャーライズドボールにも種類がある。試合やグループレッスンなど、シチュエーションに応じて使い分けるといい。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)他

 以前にもこのコーナーで説明しましたが、テニスボールには、内部の高気圧ガスとゴム球の弾力性が合わさって反発する「プレッシャーライズドボール」と、ゴム球だけで反発力を生む「ノンプレッシャーボール」があります。

 一般に広く使われているのはプレッシャーライズドボールで、これだけでも各メーカーから多くの種類が発売されています。中には明らかに高価な物と、安価な物がありますが、この価格差はどこからくるのか? それは「メルトンの質の差」と思ってもらっていいでしょう。

 テニスボールは、ゴム製のコアボールの表面にメルトンを張った構造になっています。メルトンとは「太番手の紡毛糸を織り上げ、圧縮した毛端を絡ませてフェルト化した織物」で、古くはオーバーコートやマントなどに用いられています。現代では「ピーコート」の生地に使われている……と言えば若い人にもわかりやすいかもしれません。

 このメルトンを使ったテニスボールは最高グレードの商品であり、国内の各種トーナメントの使用球はほぼこのタイプです。またマイルドな打球感を好む日本では、一般クラブでも愛用されています。楽しむテニスでは、耐久性よりフィーリング重視というわけです。
 
 一方、サークルやスクールで練習球として重宝されているのが、プレッシャーライズドボールでもやや安価で、耐久性を重視したタイプです。これの表面は織物メルトンではなく、「ニードルパンチ」という不織布。短いウールやナイロン繊維を薄い層にして何枚も重ね 多数の針(ニードル)の付いた機械で圧縮しながら叩き、繊維をほつれさせ、絡ませ合いながら、フェルト状にした布生地です。イメージしやすいのは、オフィスのカーペットなどに多用されている、グレーのアレです。つまり「丈夫」がウリなんですね。

 このタイプのボールは、ガットと当たってこすれても毛羽立ちにくく、打球は高速で飛ぶのが特徴です。毛羽立ちにくいですから耐久性も高く、しかも安価となれば、練習球には最適。ただ、打球感は軽く、よく飛ぶので、「試合球とは違う」ということを理解した上で使用すべきです。

 それぞれに一長一短があり、どちらがいいとは言えません。多くのボールを使う部活などの練習では、コストが安くて長持ちするニードルパンチタイプ(例:『スリクソンHD』『ブリヂストンNX1』など)。週末のクラブライフでは、周囲に合わせてメルトンタイプ(例:『ダンロップフォート』『ブリヂストンXT8』など)を使うのが適切でしょう。また、試合が間近に迫っている時は、その試合球で練習しておくのがお勧めです。

文●松尾高司(KAI project)

※『スマッシュ』2017年8月号より抜粋・再編集

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