夏のテニスで非常に大切なのが水分補給です。今回は「テニスギア」の範囲を少し広げ、スポーツドリンクについて考えてみます。
皆さんは「喉が渇いた。水を飲もう」と思うでしょうが、実は喉が渇いたと感じた時点で、すでに軽い熱中症状態と言えます。ですから「喉が渇く→水を飲む」ではなく、「喉が渇かないように→水を飲む」が、プレー中の正しい水分補給です。チェンジエンドの時、喉が渇いていなくても、必ず少量の水分を口に含むことを習慣化しましょう。
そして、何を飲むかによって、水分摂取の効率が大きく違うことも知ってください。巷で販売されているスポーツドリンク、どれも似たようなものと思い込んでいませんか? 一くくりにされがちなスポーツドリンクですが、味が違うだけではありません。水分補給と共に、エネルギーの元となる糖分補給も担います。あの甘さは、単においしさのためではなく、ちゃんとした理由があるのです。
スポーツドリンクが最初に発売された頃、「体液と同じ浸透圧だから身体に染み込む」が謳い文句でした。体液の浸透圧は約8%で、それと同じ糖分濃度がいいとされたのです。一般的に販売される清涼飲料水よりもちょっと甘さが抑えてある程度が8%です。また、0.1~0.2%の塩分も必要で、ほんの少しだけしょっぱさを感じるのも特徴でした。
これを「アイソトニック飲料」と呼びます。『ポカリスエット』はその分野を切り開いたパイオニアで、これに代表されるアイソトニック飲料をプレー中に飲む人は多いでしょう。ただ運動生理学的には、運動時の体内の浸透圧はアイソトニック状態よりもはるかに低く、糖質2.5~3%という状態となり、アイソトニックでは水分が体内に染み込みにくくなります。
そこで10数年前から増えたのが「ハイポトニック飲料」です。これは運動時の体内浸透圧に糖質をフィットさせたドリンクで、飲んでみると「ものすごく甘さ控えめ」で、一般的清涼飲料に比べると「味がしない」と感じるほどです。『ポカリスエット』を2倍以上に薄めた状態と言えば想像がつくでしょうか。
でも、運動時の水分補給としては、そのくらいが最適なのです。現在ではハイポトニックを謳う商品がたくさんありますから、プレー中に飲むドリンクとしては、ハイポトニック飲料を選ぶのをお勧めします。
文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2017年10月号より抜粋・再編集
【PHOTO】トッププロもプレーの合間には水分補給を欠かさない
皆さんは「喉が渇いた。水を飲もう」と思うでしょうが、実は喉が渇いたと感じた時点で、すでに軽い熱中症状態と言えます。ですから「喉が渇く→水を飲む」ではなく、「喉が渇かないように→水を飲む」が、プレー中の正しい水分補給です。チェンジエンドの時、喉が渇いていなくても、必ず少量の水分を口に含むことを習慣化しましょう。
そして、何を飲むかによって、水分摂取の効率が大きく違うことも知ってください。巷で販売されているスポーツドリンク、どれも似たようなものと思い込んでいませんか? 一くくりにされがちなスポーツドリンクですが、味が違うだけではありません。水分補給と共に、エネルギーの元となる糖分補給も担います。あの甘さは、単においしさのためではなく、ちゃんとした理由があるのです。
スポーツドリンクが最初に発売された頃、「体液と同じ浸透圧だから身体に染み込む」が謳い文句でした。体液の浸透圧は約8%で、それと同じ糖分濃度がいいとされたのです。一般的に販売される清涼飲料水よりもちょっと甘さが抑えてある程度が8%です。また、0.1~0.2%の塩分も必要で、ほんの少しだけしょっぱさを感じるのも特徴でした。
これを「アイソトニック飲料」と呼びます。『ポカリスエット』はその分野を切り開いたパイオニアで、これに代表されるアイソトニック飲料をプレー中に飲む人は多いでしょう。ただ運動生理学的には、運動時の体内の浸透圧はアイソトニック状態よりもはるかに低く、糖質2.5~3%という状態となり、アイソトニックでは水分が体内に染み込みにくくなります。
そこで10数年前から増えたのが「ハイポトニック飲料」です。これは運動時の体内浸透圧に糖質をフィットさせたドリンクで、飲んでみると「ものすごく甘さ控えめ」で、一般的清涼飲料に比べると「味がしない」と感じるほどです。『ポカリスエット』を2倍以上に薄めた状態と言えば想像がつくでしょうか。
でも、運動時の水分補給としては、そのくらいが最適なのです。現在ではハイポトニックを謳う商品がたくさんありますから、プレー中に飲むドリンクとしては、ハイポトニック飲料を選ぶのをお勧めします。
文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2017年10月号より抜粋・再編集
【PHOTO】トッププロもプレーの合間には水分補給を欠かさない