新型コロナウイルス感染拡大により開催が懸念されていた全米オープンは、規模を縮小しつつも8月31日に開幕することが決定。現在は多くの選手がモチベーションも新たに大会への準備を進めている。
そうした中で、注目したい女子選手がいる。昨年の全米オープンで初出場ながら初優勝を飾ったシンデレラガール、ビアンカ・アンドレスクだ。戴冠した当時はまだ19歳。10代のグランドスラム(世界四大大会)制覇はマリア・シャラポワ以来の快挙だった。
月刊スマッシュでは、「若い、うまい、強い」の三拍子そろった才能に注目。「ヤングスターのスゴ技を盗め」と銘打ち、そのテクニックのすごさをかつて史上最年少(17歳9カ月)で全日本テニス選手権に優勝している谷澤英彦氏に解説してもらった。
◆ ◆ ◆
身長170センチのアンドレスクは、優れたフィジカルをベースにした強打を武器にする選手だが、強烈なパワーを生み出すための技術や身体の使い方も超一流だ。
写真はアンドレスクが優勝した2019年の全米オープンで撮影したもの。彼女はサービスを打つ時、左右の腕をずらしながらテイクバックを開始し、ボールをトスする左腕が先行し、ラケットを持つ右腕は遅れて上がってくる。
トスをする左手が頭上にきてから、ラケットを持つ右手が遅れて上がってくる「逆トの字」のトスアップ。このようにフォームを左右非対称とすると身体のひねりが大きくなり、サービスに必要なパワーを蓄積することができる。
そうして貯めたパワーをインパクトに向けて一気に爆発させるわけだが、私が注目したいのは打点ではなく、打ち終わった際のポジションだ。ジャンプして打った後に、これだけ前に出て着地する女子選手は非常に珍しい。これは彼女がサービスの際にジャンプ力を最大限に生かしてボールを捉えているからだ。
しかもそれだけの勢いを出力しながら、身体の軸が前に折れたりせずハイバランスをキープしている。これは彼女が高い次元でパワー&コントールを両立している証左だ。
今年の6月で20歳を迎えたが、今後どのように成長していくのか目が離せない逸材である。
ビアンカ・アンドレスク(Bianca Andreescu)
2000年6月16日生まれ(20歳)。カナダ出身。身長170cm、右利き、バックハンドは両手打ち。女子テニス界屈指のハードヒッターだが、ショットのバリエーションも豊富で、優れた戦術眼を持つ。2019年は全米優勝を含めてツアー3勝を挙げ、シーズン当初は107位だったランキングを一気に一桁台へと押し上げた。自己最高ランキング4位(19年10月21日付)。
※スマッシュ2019年12月号から抜粋・再編集
【PHOTO】アンドレスクのサービス、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』
そうした中で、注目したい女子選手がいる。昨年の全米オープンで初出場ながら初優勝を飾ったシンデレラガール、ビアンカ・アンドレスクだ。戴冠した当時はまだ19歳。10代のグランドスラム(世界四大大会)制覇はマリア・シャラポワ以来の快挙だった。
月刊スマッシュでは、「若い、うまい、強い」の三拍子そろった才能に注目。「ヤングスターのスゴ技を盗め」と銘打ち、そのテクニックのすごさをかつて史上最年少(17歳9カ月)で全日本テニス選手権に優勝している谷澤英彦氏に解説してもらった。
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身長170センチのアンドレスクは、優れたフィジカルをベースにした強打を武器にする選手だが、強烈なパワーを生み出すための技術や身体の使い方も超一流だ。
写真はアンドレスクが優勝した2019年の全米オープンで撮影したもの。彼女はサービスを打つ時、左右の腕をずらしながらテイクバックを開始し、ボールをトスする左腕が先行し、ラケットを持つ右腕は遅れて上がってくる。
トスをする左手が頭上にきてから、ラケットを持つ右手が遅れて上がってくる「逆トの字」のトスアップ。このようにフォームを左右非対称とすると身体のひねりが大きくなり、サービスに必要なパワーを蓄積することができる。
そうして貯めたパワーをインパクトに向けて一気に爆発させるわけだが、私が注目したいのは打点ではなく、打ち終わった際のポジションだ。ジャンプして打った後に、これだけ前に出て着地する女子選手は非常に珍しい。これは彼女がサービスの際にジャンプ力を最大限に生かしてボールを捉えているからだ。
しかもそれだけの勢いを出力しながら、身体の軸が前に折れたりせずハイバランスをキープしている。これは彼女が高い次元でパワー&コントールを両立している証左だ。
今年の6月で20歳を迎えたが、今後どのように成長していくのか目が離せない逸材である。
ビアンカ・アンドレスク(Bianca Andreescu)
2000年6月16日生まれ(20歳)。カナダ出身。身長170cm、右利き、バックハンドは両手打ち。女子テニス界屈指のハードヒッターだが、ショットのバリエーションも豊富で、優れた戦術眼を持つ。2019年は全米優勝を含めてツアー3勝を挙げ、シーズン当初は107位だったランキングを一気に一桁台へと押し上げた。自己最高ランキング4位(19年10月21日付)。
※スマッシュ2019年12月号から抜粋・再編集
【PHOTO】アンドレスクのサービス、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』