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「ドラマチックな展開にしちゃったわ」大坂なおみの“発言“で振り返る全米テニスの名シーン。初出場で3回戦に進出した2016年は…

スマッシュ編集部

2020.08.31

2016年全米では、3回戦で惜しくもマディソン・キーズに敗れた大坂だが、このわずか2年後には優勝トロフィーを掲げるまでに成長する。(C)GettyImages

 2度目の全米オープンテニス優勝を狙う大坂なおみ。ここでは、彼女自身が同大会で残した「言葉」にフォーカスし、名シーンを振り返っていこう。第1回は、まだ18歳のあどけない少女だった彼女が、全米初出場にして3回戦進出を果たした2016年大会だ。

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 勝利の瞬間、まるで相手をノックアウトしたボクサーのように、大坂なおみは左手を高々と突き上げた。

 第1セットを6-4で競り勝ち、第2セットは4-0と大きくリードを広げながらも、相手の追い上げを許しもつれ込んだタイブレーク。「セットを取れると思って安心してしまった。すると相手は一か八かのリスキーなショットを打ってきたので、圧倒された」。追いつかれた場面を振り返りつつ、大坂はいたずらっぽい笑みを浮かべて続けた。
 
「ドラマチックな展開にしちゃったわ」

 その自らが呼び込んでしまった「ドラマ」を、大坂はどこかで楽しんでいるかのようでもあった。試合終盤、いつも以上にガッツポーズや「カモン!」の叫び声が飛びだしたのは、「すごく勝ちたかった。たくさんの人が応援してくれていたので、彼らをがっかりさせたくなかった」からだ。

 旧グランドスタンドの客席には、日本人にアメリカ人、そして中国人らが入り混じり、「がんばれ!」「C'mon!」「加油(チャーヨ)」の応援の声が入り乱れる。もちろん、全てが自分に向けられたものではない。それでも相手への声援も含め、大坂は「ファンと一体になれている。観客たちが、試合に入り込んでいる」と高揚感を覚えていた。

 さらに、大坂がつながりを覚えていたのは、フロリダにいる姉と母。「もし今日勝てば、お姉さんとお母さんが来てくれる」。そのことが、タイブレークを戦う上での最大のモチベーションになっていたことを、彼女は笑顔で明かした。

◆2016年2回戦
大坂なおみ[6-4、7-6(3)]デュアン・インイン

取材・文●内田暁

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