国内テニス

大坂なおみが苦しみながらも勝利。「大阪で大坂が勝てなかったらガッカリじゃない?」

内田暁

2019.09.19

ベスト8入りを決め笑顔でコートを去る大坂。写真:Getty Images

【東レ・パン・パシフィック・オープン】
シングルス2回戦/9月18日(水)
大坂なおみ[1]  7-5 6-3 V・トモワ[Q]

 快調に見えた立ち上がりは、ファーストサービスの確率低下とダブルフォールトにより、突如として暗雲立ち込めるものとなった。

 第1ゲームを40-15からブレークされ、2ゲーム後のサービスゲームもダブルフォールトで失い、3連続でゲームを失う立ち上がり。夕闇迫る大阪市の靭テニスセンターを埋めた観客からは、ため息と不安をささやく声がもれた。

「ナーバスだった。どうしても、勝ちたかったので……」。
 後に大坂は、この時の心境を明かす。

 だが同時に彼女の中には、緊張ゆえに立ち上がりはスローであることへの心の準備と、ひとたび種々の状況に適応できれば、盛り返せるだろうとの思いがあったという。
「私はパワープレーヤー。いったん主導権を握れば大丈夫だと思ったし、だからリードされていても焦らずにいられた」
 対戦相手のトモワは球威こそないが、ドロップショットや高い軌道の球を用いて、大坂のリズムを崩しにくる。最初はその球質が、遅く弾むコートサーフェスの特性とも相まって一層効果を発揮し、大坂が打ち急ぐ場面も散見された。「本当はフォアで攻めたかった」ところに、相手にうまくバックの打ち合いに持ち込まれたことも、ミスが増えた一因だろう。

 ただここでも大坂は、「無理にダウンザラインに打つのではなく、チャンスがあればアングルを使っていこう」と戦術を切り替える。すると相手の返球は浅くなり、自ずと大坂がフォアでウイナーを奪う場面が増えていった。好不調の波が激しかったサービスも、ここぞという場面では190キロ超えのエースがセンターに刺さる。第1セットを逆転で奪い、第2セットも立ち上がりこそ「判断ミスが多かった」がために先行を許すが、この時は軌道修正は早かった。盤石とまでは言わないものの、地力に勝る大坂が心身に余裕を持って戦い、終わってみれば危なげないストレート勝利を手にしていた。