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国内テニス

10日で単複14試合を戦い抜いた土居美咲。日本の大会で得た自信と、さらなる挑戦

内田暁

2019.09.22

広島、大阪と日本の大会で好成績を残した土居美咲。自分のテニスへの信頼を得て、次は北京へ向かう。写真:GettyImages

広島、大阪と日本の大会で好成績を残した土居美咲。自分のテニスへの信頼を得て、次は北京へ向かう。写真:GettyImages

【東レ・パン・パシフィック・オープン】
シングルス準々決勝/9月21日(土)
A・パブリチェンコワ 6-2 6-2 土居美咲[W] 

 ボールの跳ね際を叩くと素早くコート内へと踏みこみ、スイングボレーやスマッシュを打ち込んでくる。以前の、“ベースラインからパワフルなショットを打ち込んでくる”というイメージとは異なるパブリチェンコワのプレーに、土居は戸惑いを覚えているようだった。


「想像以上に速いタイミングで、コートに入ってボールを捕らえていた。なかなか自分の時間が持てないなと思いながらの試合でした」。

 その苦境のなかでも土居は、第2セットはスピンを掛けた高い軌道のボールや、低く滑るスライスで、相手のタイミングを外しに掛かる。だが、相手の矢継ぎ早な攻撃に「自分の時間を奪われている」と圧力を感じる中では、チェンジオブペースもやや精度に欠いた。最終的に、準決勝でケルバーをも破り決勝進出を果たした好調パブリチェンコワの前に、土居は反撃の機をつかみきれなかった。

 先週の広島大会からの10日間で、単複14試合を戦った身体に疲れがないはずはない。だが土居はそれを言い訳にせず、相手のプレーを素直に称賛する。同時に、これだけの試合数を大きな疲労や痛みもなく戦い抜いたフィジカルに自信を持ち、2週間で獲得した多くのものに目を向けた。
「たくさん試合を重ねることで、試合運びや、勝負どころでどのようなプレーをすべきかが、自分の中で整理された」
 それは実戦の中でしか獲得しえない、勝利へのパズルを解くロジックのようなものだろう。

 最近の土居は、「テニス選手である以上」という言葉を、よく口にする。勝利の栄光も敗北の痛みも次の瞬間には過去となり、すぐに次の戦いがやってくるのが、テニス選手の日常だ。

 昨年の春頃は、敗戦が次の敗戦を呼び込むような悪循環にも陥ったが、今の彼女は、勝利がさらなる勝利を生むポジティブサイクルに身を投じている。
「自分のなかで、かなりプラスな2大会」を戦い終えた最後に、土居は言った。
「こんな生活ばかりなので、次に生かしていきたいなと」。

 その「次」は早くも、1週間後の北京(チャイナ・オープン)で彼女を待っている。

取材・文●内田暁

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