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海外テニス

「全米とは比べられない」全仏のコロナ対策にズべレフ、錦織ら選手たちの反応は?【全仏テニス】

内田暁

2020.10.04

ズべレフのように感染対策の脆弱さを指摘する選手もいれば、錦織のようにバブル自体は肯定的に評価している選手もおり、受け止め方はさまざまだ。(C)Getty Images

ズべレフのように感染対策の脆弱さを指摘する選手もいれば、錦織のようにバブル自体は肯定的に評価している選手もおり、受け止め方はさまざまだ。(C)Getty Images

 隣の部屋の宿泊客が、数日置きに観光地の土産を手に帰ってくる姿を、アレクサンダー・ズベレフは選手用オフィシャルホテルで目にしたという。

「こことニューヨークを比べることはできないよ」と前置きをしながらも、こと“バブル=移動規制”の完成度という意味では、ニューヨーク開催の全米オープンの方が遥かに高かったことを、全米オープン準優勝者は言葉の端々に匂わせた。

「ニューヨークは、ツアー再開後最初の大会ということもあって、選手たちを驚かせようと頑張ったと思う」

 全米ではホテルや会場内に、アミューズメントパークさながらの娯楽施設が用意され選手たちを楽しませた。会場のレストランも、スマートフォンを使ってオーダーすれば、各々が座るテーブルまで食事を運んでもらえるシステムを採用していたという。

 対して全仏オープンは、「会場内の人が少ないことを除けば、いつもと変わらない」とズベレフ。防疫の観点から言えば、それはやや脆弱だ。ただ「観客がいるのは、やはりいいものだよ」と、無観客のニューヨークで初のグランドスラム決勝戦を戦った、23歳の“次代の旗手”は言った。
 
 全米にはいなかった観客を入れることは、今大会の最大の野心であり、最後まで揺れた要素でもある。当初は1日5000人を上限に、センターコートやスザンヌランランなど、指定席が設けられているスタジアムのみチケットを売り出した。

 ところが開幕まで4日に迫った時点で、政府はパリを含む“コロナ感染レッドゾーン”に指定されている地域の、スポーツイベント観客上限を1000人に定めると発表。フランステニス協会(FFT)は特例を認めてもらえるようギリギリまで交渉したが、さすがに願いは聞き入れられず。最終的には1日あたりの観客は、VIP300人、チケットでの入場者は700人の合計1,000人に。その700人の観客は、5000人の前売り購入者の中から抽選で絞り込まれた。

 全米では最小限に留められたメディアの現地取材が認められたのも、全仏オープンの試みだ。その数は、ペン、ラジオ、フォトグラファーが計180名。テレビ関係者は150名に及んでいる。
 

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