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「プロテニス選手会」発足から2年、新会長に就いた内山靖崇が描く、テニス人気底上げのビジョンとは?

内田暁

2020.12.22

選手会の理事代表に就任した28歳の内山靖崇。これまでの活動の収穫や今後の課題について語ってもらった。写真:THE DIGEST写真部

 12月6日、全日本男子プロテニス選手会(以下、選手会)が、新体制を発表した。

 新理事には関口周一の他、島袋将、高橋悠介らの若い顔も加わり、そして"理事代表"には、内山靖崇が就任した。役職名こそ従来から変わったが、実質的には"選手会会長"である。

 選手会が発足したのは、2年前。新会長の内山や、現監事の松井俊英、そして初代会長の添田豪らが発起人となり、2年近くの準備期間を経て2018年12月に産声を上げた。

 設立の基本理念は"選手間の情報共有""選手活動の環境整備"そして"テニスの普及"。何もかもが手探りで始まり、しかも2年目にコロナ禍という未曾有の事態に世界が包まれるなか、選手会執行部は当初の任期である2年を終えた。

 一定の手応えと実績、そして種々の課題――それらを次世代に引き継ぐ選手会最初の節目で、自ら会長就任に手を挙げたのが、内山である。発起人の1人として設立までの経緯を全て把握し、年齢やキャリア的にも中堅からベテランに差し掛かった彼がその役に就くのは、極めて自然な流れだろう。
 
 選手会発足からの2年間で、内山が皮膚感覚で得た収穫や変化は、「意見交換をできる雰囲気や環境を作れたこと」だという。

「選手たちが、いろんな思いを持っていることがわかったこと。それがうれしかったですね。それまでは、ツアーで一緒になったり食事に行っても、よほど親しい人とでないと、そんなに深い話はしなかったんです。それが今は、普通にご飯を食べるような場でも、そういう(選手会活動の)話をすることがありますから」

 それこそまさに、選手会理念の骨子を成す"情報共有"の実現だろう。

 目に見える形での"環境整備"という意味では、ウインザーラケットショップとのパートナーシップ締結がある。これにより選手会所属の選手たちは、同社によるストリンギングのサポートを受けられるようになった。

 また昨年の全日本選手権では、選手会としてトレーナーを雇用する試みも実現している。それらテニス関係者と仕事をしていく中で、「選手会のためなら」と応援してくれる人々の好意に触れられたことも、大きなモチベーションになったと内山は言った。