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海外テニス

世界的名コーチ、ボブ・ブレット氏が67歳で死去。ベッカー、イバニセビッチらを指導した他、日本テニスの強化にも貢献

中村光佑

2021.01.06

日本テニスとも縁が深かったブレット氏。「修造チャレンジ」に参加し、日本のジュニアを意欲的に指導してくれた。写真:スマッシュ編集部

日本テニスとも縁が深かったブレット氏。「修造チャレンジ」に参加し、日本のジュニアを意欲的に指導してくれた。写真:スマッシュ編集部

 1月5日、オーストラリア人の名コーチ、ボブ・ブレット氏がガンのために死去した。67歳だった。ATP(男子プロテニス協会)では公式サイトでその第一報を伝えている。

 ブレット氏はボリス・ベッカー氏、ゴラン・イバニセビッチ氏、マリン・チリッチ(クロアチア)などの名だたるグランドスラムチャンピオンを指導した経歴を持ち、2020年11月には、長年の功績を称えられ、「2020ティム・ガリックソンキャリアコーチ賞」の受賞者に選出された。

 2002年にはイタリアのサンレモに自身の名を冠したアカデミーを開設。同郷オーストラリアの伝説的なコーチ、ハリー・ホップマン氏の信奉者でもあったブレット氏は忍耐力と強いトレーニングへの意欲、そして選手へのコミットメントを重視したコーチングをモットーとし、選手がミスをした時には過酷なドリルを課すこともあった。

 生前、「テニス選手は精神的にタフでなければならず、プレッシャーの中で実行する能力がなければならない」と語っていたブレット氏。その言葉を裏付けるかのように、厳しいトレーニングで多くの名プレーヤーを生み出した。
 
 ブレット氏は日本にも深いつながりがある人物として知られ、元テニスプレーヤーで解説者の松岡修造氏の師でもあった。松岡氏主宰のジュニアキャンプ「修造チャレンジ」でもコーチを務め、錦織圭をはじめ日本の男子トップを指導。また、2003年から2006年まではデビスカップ日本代表チームのスーパーバイザーにも就任し、日本テニスの発展に大きく貢献した。

 セレナ・ウィリアムズ(アメリカ)らのコーチであるパトリック・ムラトグル氏は自身のツイッターで「6年間一緒に仕事をしたボブ・ブレット氏の死を非常に残念に思っています。コーチになったばかりの私に多くのことを教えてくれました。私が出会った最高のコーチの一人です。ご冥福をお祈りします」と追悼メッセージを掲載。

 また、過去にブレット氏から指導を受けた綿貫陽介もツイッターで「偉大なコーチの最後の選手として今までなかなか良いところが見せられなかったので絶対に結果を残します。ボブさんに観てて楽しいって言われる様に自分らしく頑張ります。本当にありがとうございました」とコメントを残している。

 突然の訃報と早すぎる死に、テニス界には悲しみの声が広がっている。

文●中村光佑
 
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