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海外テニス

【レジェンドの素顔5】“悪童”マッケンローが見せた初めてのサービス精神。7か月間の休養で自信を取り戻す|前編<SMASH>

立原修造

2021.03.31

先が読めないマッケンローのテニスは観客を魅了した。写真:THE DIGEST写真部

先が読めないマッケンローのテニスは観客を魅了した。写真:THE DIGEST写真部

 大一番におけるスーパースターたちの大胆さや小心をのぞいていくシリーズ「レジェンドの素顔」。今回は、80年代前半のスーパーヒーローだったマッケンローを紹介しよう。

 彼のエキサイティングなプレーぶりは史上最高の痛快さを持っていた。そのマッケンローが長い休養を終えて、再びテニスコートに帰ってきた1986年。果たして、パワー優先で硬直したテニス界に、かつてのエキサイティング・テニスを甦らすことができたのだろうか。

  ◆  ◆  ◆

マックのプレ―は傑作推理小説

 テニス史上、最強のプレーヤーは誰か?

 こうした論議は、これまで多くのテニス評論家たちの間で、何度も展開されてきた。活躍した時代がまるで違うプレーヤーを一堂に集めて、その白黒をつけるような目論見はいささか乱暴だが、テニスが体力とワザを極限まで競う個人技である以上、誰が最強だったのかを考えることは、とても好奇心を刺激されるものである。

 こういうとき、必ず名前があがるのは、チルデン、レーバー、ボルグの3人だ。それぞれ、その時代を飾った巨人たちである。チルデンは全米を7回も制しているし、レーバーはグランドスラムを2回も達成している。ボルグはウインブルドン5連覇を成し遂げている(※記録は記事初掲時の1986年のもの)。

 そうした史上最強陣に、当然、マッケンローも加わってくるはずだった。全米を4回、ウインブルドンを3回制した1984年までの強さをもってすれば、すぐにでもボルグあたりを蹴落として、マッケンローが取って替わるものと思えた。
 
 ところが、誰もがそう期待し始めた瞬間に彼は見事にズッコケた。“史上最強への道”を少しおあずけにしてしまったのである。ここらが、常識にかからぬマッケンローらしい。
“人が期待するのは勝手だが、オレは知らないよ”と言わんばかりである。

 しかし、史上最強プレーヤーの方はともかくとして、すでにマッケンローが史上ナンバーワンの座を得ているものがある。

 何か? それは、彼が観る者を熱狂させることに関しては、天下一品のプレーヤーだということだ。変幻自在、縦横無尽――。マッケンロー・テニスを形容する言葉には事欠かない。

 彼のプレーは、傑作の推理小説そのものなのだ。ドンデン返しがいつも用意されている。たとえば、深いボレーを打つ場面でも、その逆をついて、絶妙なタイミングでネット際にポタリとドロップボレーを落とす。ベースライン上の打ち合いで、もう一球つなげるべきところを、間髪を入れずに一気にクロスのエースを決めてきたりする。

 つまり、観客たちが予測する"次の一球"をマッケンローはことごとく裏切っていく。すると、観客たちはますますマッケンローの試合にのめりこんで行く。―――次はどんな風に裏切ってくれるのか、と。
 

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