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【テニスギア講座】プロのストリンガーとホームストリンガー、張り上がりの違いはどこに出る?〈SMASH〉

松尾高司

2021.02.13

ストリングは誰がどう張るかによって、打球性能が大きく異なるもの。グランドスラムのオフィシャルストリンガーは、トッププロの厳しい要求に応えられる技術を持っている。写真:THE DIGEST写真部

 ストリング(いわゆるガット)を張る人のことを「ストリンガー」と呼びます。トップ選手のために張るプロフェッショナルから、町のショップの店員さん、スクールのコーチや部活の先輩まで、色んな人がいますが、一般にストリンガーと言えば、職業として張って生計を立てる人のことです。

 自分のために張ったり、友達のを安く張ってお小遣い稼ぎしている人などは「ホームストリンガー」と呼びます。ストリングをよく切る学生は、経費節約のために学校の部でマシンを買って張る場合もあり、それはそれで合理的なことです。

 ただ、プロの仕事とは明確な違いがあることを知りましょう。例えば張り機です。現代はほとんどが電動マシンで、昔のバネ式マシンとは雲泥の機能差があります。その電動マシンもピンキリで、ホームストリンガー向きのマシンは20万円ほどの低価格ですし、プロが使う高精度の最高級マシンは120万円もする物もあります。

 プロのストリンガーに張ってもらえば、張り代はだいたい2,000円程度ですが、知り合いやお友達に張ってもらえばお小遣い料金。その差は一体どこに出るのか? 一番の違いは仕上がりの「安定性」で、以下のことがチェック項目になります。
 
1:各ストリングに均等にテンションがかかり、バラつきがないか?
2:たるみにくい留めができているか?
3:フレームが極端に変形していないか? 
4:ストリングやフレームに傷を付けていないか?
5:ラケットやストリングの条件が同じ場合、全く同じ張り上げができるか?

 こうした点で、プロと素人の張りの差は歴然です。そこに張り代なりの価値を感じられるかどうかはプレーヤー次第です。

 ただ現実問題として、仕方なく自分で張っている人は何に注意すべきか。例えば週1で切ってしまう人は、プロの張りは費用がかかるので、自分でマシンを買うのも手です。無名ブランドの電動マシンでも安くて20万円しますが、100回の張り替え代と同じですから、ここでケチらないこと。もっと安いバネ式マシンもありますが、的確に張るためには電動を買った方が楽です。

 そしてメーカーが提示するストリングパターンをきちんと守り、どうしたら良い張りができるか、繰り返し練習して技術を高めてください。ショップなどで有料のストリンギング講習会を開いている所もあるので、自己流で張らず、プロから正しい知識を学ぶのもいいでしょう。

文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2019年2月号より抜粋・再編集

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