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海外テニス

プラスにできるかは人それぞれ。隔離下での異なる練習条件が選手にもたらした影響は?【全豪オープン/現地発リポート】〈SMASH〉

内田暁

2021.02.17

ぎりぎりで現地入りし、実力者と練習することになった杉田祐一。それも故障棄権の一因になったかもしれない。(C)Getty Images

ぎりぎりで現地入りし、実力者と練習することになった杉田祐一。それも故障棄権の一因になったかもしれない。(C)Getty Images

 海外渡航の選手には全て、入国後の2週間隔離が求められる上に、72人もの選手が、部屋から一歩も出られぬ“ハードロックダウン”となった今年の全豪オープンテニス。

 女子の方では特に、ハードロックダウン下にあったアンジェリーク・ケルバー、マリア・サッカリ、ビクトリア・アザレンカら実力者たちが初戦敗退を喫したため、その影響の大きさが取りざたされた。

 ハードロックダウンではなかった選手たちにしてみても、1日5時間の外出が許されたと言えど、行けるのは練習会場のみ。その間の練習パートナーも固定されているという、日頃の大会とは全く異なる環境下にいた。

 2週間、同じ選手と練習し続けるという状況が、選手の心技体に及ぼした影響も決して小さくないようだ。杉田祐一は、やや不運だったケースだろう。

 昨年末から、より良いテニス環境を求めてセルビアに移住した杉田は、年明けにトルコのツアー大会に出場し、そこからメルボルン入りする予定でいた。だが出国直前の1月2日に、新型コロナの陽性が判明。メルボルン入りするには、1月中旬にはドバイ発のチャーター便に乗らなくてはならないため、まさにギリギリのタイミングだった。
 
 不幸中の幸いにも、1月10日に陰性結果が出たため、オーストラリアには無事入国。だがそれまでの1週間以上は、全く練習ができず終い。そしてメルボルン入り後の2週間の練習相手は、ラスロ・ジェレ。この2年間で2度ツアー優勝した、同門の実力者だ。

 病み上がりの杉田にしてみれば、徐々に身体を慣らしていきたいところである。だが、万全の準備でメルボルン入りしているジェレのことを思えば、そうも言っていられない。相手のペースでいきなり激しく練習し、一時は「体調もテニスの感覚も狂い始めてしまった」という。今大会、初戦で試合中に脇腹を痛め棄権せざるを得なかった背景には、このような事情もあっただろう。

 土居美咲のケースは、また少々複雑だ。利き腕の手首を痛めていた土居は、日本で全くボールが打てない時間が続くなかで、オーストラリア出発の日が近づいてくる。

「こんな状態のままでは、選手とは練習できない。相手に迷惑をかけてしまう」
そう感じていた土居は、練習相手は設けず、コーチのクリス・ザハルカと調整する予定でいた。
 

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