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高橋悠介が考える「回り込みフォアハンド」成功の条件は、フットワークと気持ち!【プロが明かすテニス上達法】〈SMASH〉

スマッシュ編集部

2021.03.13

ボールを追い越すつもりで回り込むという高橋選手。打つ時にボールと身体の間にスペースを作れれば(6コマ目)、正確かつパワフルにスイングできる。写真:THE DIGEST写真部

 プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単にたたき込む。なぜあんなボールが打てるのか? その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は2017年の全日本チャンピオン、高橋悠介選手が回り込みフォアハンドについてレクチャーする。

「回り込みフォアは自信を持っているショットです」と断言する高橋選手。それは単にポイントを取る武器ということではない。「回り込みフォアの精度や威力が落ちると試合のリズムが悪くなるので、自分でも重視しています」と言うように、ゲームの流れ全体を左右するキーショットとなっている。

 では、技術的にはどんなことを意識しているのか?
「ポイントはやはり移動です。少しでも動くのが遅れると、十分な構えは作れないので、ボールに合わせて動くのではなく、『早くボールを追い越す』という意識でやっています」

 ボールの後ろに入るのではなく、"追い越す"意識を持つことで、移動が速くなる。その結果、「コートの真ん中で普通に打つフォアハンドと、同じ形で打てる」ことになり、ショットの精度も威力も確保できるのだ。
 
「ボールよりも先に移動して待つぐらいの感覚か、極端に言うと少し戻るぐらい余裕を持ちたいですね」と高橋選手。

 逆に移動が遅れて、「ボールと身体の間にスペースがなくなると、全くコントロールできないし、身体が左に流れて力も逃げてしまいます」と警鐘を鳴らす。「スペースをしっかり作れると、打ちたい方向に真っすぐスイングでき、力も前に出せます。いい姿勢で打つことがとても重要です」

 最後にもう1つアドバイスしてくれた。
「あとは思い切って振り切ること。せっかく回り込んでも、入れにいったのでは意味がないし、甘いショットを打つと不利になるだけですから」

 フットワークと気持ち。回り込みフォアにはその両方が欠かせない。

【プロフィール】高橋悠介/たかはしゆうすけ
1997年10月17日、神奈川県生まれ。170cm、68kg、右利き。湘南工大附属高出身。攻守の切り替えが鋭く、スピーディーな展開を得意にする。2017年全日本選手権優勝、同年楽天オープンではポスピシルを破り予選突破を果たした。ATP最高ランキング238位(17年8/7付)。三菱電機所属。

構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2020年8月号より再編集

【PHOTO】高橋悠介選手の回り込みフォアハンド、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』